*たわごとコラム

宵っ張りの小学生

絵本「天国のサーカスぼうや」 を読んでいたら、子供の頃に見た映画
「汚れなき悪戯」を思い出しました。ビデオもパソコンもない時代ですし 、
親がたまに映画館にまで連れていってくれる作品といえば、
ディズニーアニメぐらいなものでしたから、当時テレビで放映されたのだと思います。

今振返ってみると、私は小学生の頃に結構たくさんの映画を観ました。
もちろん、そのほとんどがテレビ放映されたものなので、
作品を選ぶことはできませんでしたし、
私の親は、とくにどんな内容の映画でも「観てはいけない」とは言わなかったので、
あらゆるジャンルの作品を目にしていました。
(淀川長治さんの「さよなら、さよなら、さよなら」が懐かしい・・・ )
特に古い名作映画は、深夜に放映されることがほとんだでしたから、
宵っ張りの小学生だったのか・・・親が寛容だったのか・・・
そのところはあまり記憶にありません。

が、作品そのものの記憶が今も色褪せていないことに、私自身ちょっと驚いています。
「汚れなき悪戯」を観たのは小学2.3年の頃だったと思うのですが 、
主題歌の“マルセリーノの歌”を今でも口ずさむことが出来ますし、
映像の印象や音声・・「汚れなき悪戯」という、小学生にはちょっと難しい漢字を、
すぐに覚えてしまったことまでがはっきりと記憶に焼き付いているのです。
もちろんその時に感じた、胸を締め付けられるような感覚までも・・・

中には残虐シーンや恐怖シーンが盛り込まれた作品もあって、悲しいかな
どちらかというとそういう作品の方が映像のディテールなどを
はっきりとを思い起こすことが出来ます。

今どきの残虐シーンは、ありふれている上に映像的に凝っているので、
かえって現実味がないような印象がありますが、
私の胸に焼き付いてしまったのは、例えば荒野のガンマンが人の耳を
ナイフでさっと切り落としてしまう・・というようなシーンでした。
特撮も、効果音もないそのシーンが、生々しくに目に焼き付いてしまって、
フラッシュバックする度に怯えていた記憶があります。

しかし一方で、映画が与えてくれた感動や知識は計り知れません。
「ブラーザー サン シスター ムーン 」「サウンド オブ ミュージック」・・
オードリー・へプバーンやキャサリン・へプバーンのロマンティックなラブストーリー。
「ジョニーは戦場へ行った」「奇跡の人」・・・
思い起こせばそれこそ走馬灯のように記憶が甦ります。。

今ですね〜、ふと思い出した映画があって・・・「少年が、病気にかかったロバを何とか
助けようと、ローマへと旅する物語」なんですが・・・タイトルを忘れてしまいました。
「奇跡のなんとか・・・ 」???
で、ちょっとインターネットで調べてみたら、出てきましたよ〜!
——「小さな奇蹟」
ポール・ギャリコの原作だったんだ〜。 なんだか感激。。

小学生の頃に、選り好みせずたくさんの映画を観たこと・・・
それが良いことだったのか悪いことだったのか、何ともいえませんが
“私”という人間の材料になっていることは確かです。
その材料は、随分と私の人生を豊かにしてくれました。
ただ、残虐なシーンが予想以上に強く子供の記憶に刻まれてしまうことについては、
いろいろな意味で一考の余地がありそうです。

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