*たわごとコラム

思いがけないお誘い・・・

昨年出会った、裏山の陶芸工房のオーナーさんが
“寄席”の案内状を送ってきてくださいました。
思いがけない人から、思いがけないお誘い・・・
会場は熱海の芸妓見番、真打は柳家権太楼・・・
こんなご縁でもいただかない限り、
多分自分から足を向けることはないと思い、
ものは試しに行ってみることにしました。

芸妓見番も初めてなら、本格的に落語を聞くのも初めて。
経験したことがないので、好きも嫌いも分からず好奇心だけで
見に行きましたが、これが大正解でした。
ますは芸妓見番の建物自体が、見ごたえたっぷり。
一歩中に入れば、表とはまったく違う時代の空気が流れている感じです。
靴を脱いで入場すると、客席は畳敷きに座ぶとん、
芸妓さんの名前が入ったちょうちんが天井際にずらりと並んで
場内の雰囲気を盛り上げています。
出囃子ともにまずは前座が登場、真打まで間に二人、
会場は徐々に盛り上がり、
素人の私にも、実力の差がはっきりと分かります。
とにかく、名人の話芸には感心することしきり。
お腹の底から笑い転げて、浮き世の憂さも吹き飛びました。

私の場合、若かりし頃はどちらかというと国外の文化に興味を持っていて、
外を見てからようやく自国の文化の真の素晴らしさに気付くという不甲斐無さ・・・
まさに灯台下暗しですが、
ようやく、足元にお宝がたくさん眠っていることに気付いたという感じです。

今回、“思いがけない”ものに触れて、
ちょっとだけ視野が広がった感じ。

帰り際、陶芸工房のオーナーさんと、今度は花見酒でも致しましょうと
春の約束をしてきました。
もともと、「裏山で開催している陶芸展を見に行ってみよう!」という
店主Bの思い付きから始まったご縁・・・
思いがけないことが、思いがけない方へと続いていきます。

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