*たわごとコラム

“街の本屋さん” が消えてしまう

今週の朝日新聞に、街の本屋さんがどんどん減っている、
という連載記事が掲載されました。
立地条件のいい大型店舗や、ネットショップのあおりを受けて、
小さなお店は、経営が成り立たなくなっているとのこと・・・

先日、仕事帰りに神田に寄ったら、
学生時代によく行った古本屋さんが消えていて、がっかりばかりです。
ここのところ、こんなことが何度か重なって、
本当に寂しい思いをしているのですが、そんなことを言っている私も
以前住んでいた家の近くに、巨大な本屋さんが出来た時には大喜びでした。
本好きからすれば、大きな本屋さんはやはり魅力的。
大型店舗の出店は逆に増えているそうですから、
小さなお店の経営状況は、今後さらに厳しさを増しそうです。

もしも“街の本屋さん”が完全に消えてしまったら・・・
と、ちょっと考えてみました。
今は、インターネットでどこからでもあらゆる商品が取り寄せられる時代ですから、
“街の本屋さん”はその役割を終えたかのように言われることもありますが、
私は、そうは思いません。

便利な都市圏から、大型店舗が一つもない小さな街に引越してきて1年3ヶ月。
今のところ、ほとんど不便を感じることはないのですが、
近くに本屋さんがなくなってしまったことだけは、ちょっと残念に思っています。

私はどういうわけか、子供の頃から“本がたくさんある場所”が大好きで、
家の近くの小さな本屋さんや、図書館に行くとただそれだけでワクワクしました。
どちらもたくさんの本が置いてある場所ですが、
本屋さんには雑誌や真新しい本が並んでいて、
毎月楽しみにしていた購読誌が届く場所でもありました。
本との出会いはもちろんのこと、“街の本屋さん”は子供の頃の私に、
“本屋”そのものとの出会いを与えてくれたのです。

当然、他の街に行けばもっと大きな本屋さんはあったのだと思いますが、
子供時代は、自分の家の周りが全世界。
商店街の中にあったその“街の本屋さん”は、当時の私にとって
唯一、自ら足を踏み入れることのできる、ブックワールドへの入り口だったのです。

もしも、
子供の頃、 家の近くに“街の本屋さん”がなかったら、
学生時代、学校の近くに古本街がなかったら、
勤め先の近くに、青山ブックセンターがなかったら・・・・
プレシャスブックスは存在していなかったのではないかと思います。

“街の本屋さん” が消えてしまうということは、
ブックワールドへのゲートが減る、ということなのではないでしょうか。
特に子供たちにとっての・・・

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