*たわごとコラム

得体の知れない追っ手

私にはどうしても、ハウルと現実世界の少年たちの
イメージが重なって見えてしまいます。
お城が、殻なのだとしたら、
ハウルを追い掛けていた、あの得体の知れない、
グニャグニャした存在は何なのでしょう?
ハウルが髪の色のことで落ち込んで、自ら呼び寄せた闇の存在とは
別物として描かれていましたね。

あの追っ手は、時には建物の隙間から、
あるいは街の片隅から湧き出るように現われて、
ハウルがどこに行っても執拗に追い掛けてきました。

それはまるで・・・

ゆがんだ愛情
過度な期待
虐待
無関心
いじめ
教育制度のひずみ
社会の不条理・・・・

今、子供たちを追い詰めるものは、みな得体が知れず
実態のつかめないものばかりです。
あの追っ手は、そういうものをとても巧みに
表現していたような気がするのです。

まわりの子供たちを見ていると、
みんな何かに追われているような印象を受けます。
本人は意識していないかも知れませんが、
“得体の知れない”不安感を抱いている子は、
多いのではないでしょうか。

追われているうちに時が経ち、
そのまま大人になってしまった人もいるはずです。
・・というより、全ての大人がそういうものを持っているといっても、
過言ではないかも知れません。

私たちは、いったい何に追われているんでしょう?
“得体の知れない”不安感は、いったいどこから来るのでしょう?

・・・追っ手を、ハウルに差し向けたのは誰でしたっけ?
いったい何のために?

それとも、そんな野暮なことは言わないで、
ただ純粋に、ファンタジーを楽しんだ方がいいのかな?

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