*たわごとコラム

お花見

先週末は、花見にお呼ばれ。

裏山に住んでいる陶芸家のMさん宅は、庭に大きな桜の樹があるのです。

犬も一緒に・・・と言っていただけたので、
二人と一匹で、テクテク坂道を登ってゆきました。
たいした距離でもないのに、風景はすっかり山奥。
ゼイゼイ言いながらたどり着くと、それはそれは見事な
満開のソメイヨシノが迎えてくれました。

庭で花見ができるなんて、なんという贅沢でしょう。

「毎年こんな豪華な花見ができるなんて、贅沢ですね~」というと、
「人を呼べる程になったのは、ここ数年のことですよ」とMさん。

なんとこの桜は、20数年前にMさんがここに居を構えた時に、
細い苗木を植えて育てたものだというのです。
あまりにも立派な桜なので、 私はまた、
もう何百年も前からここに生えていたのかと思っていました。
桜って、たったニ十数年でこんなに生育するものなのですね。
ソメイヨシノの寿命は約60年といわれているそうで、
20数年目の樹はまさしく“花盛り”、最も花付きのいい樹齢なのだとか。

桜の寿命って、結構短いんですね。
知りませんでした。
日本の桜の80%を占めるというソメイヨシノは自然に増えることができない品種で、
戦後植えられた多くの樹がそろそろ寿命を迎えているとのこと。

人が介在しなければ、生き続けることができない樹なので、
誰も何もしなければ、いつか消えてしまうのだそうです。

そう思って見ると、それでなくても花期の短い桜がいっそう美しく見えました。

それにしても、一人の人間が、人生のうちで一本の苗木を植えたか植えないかで、
20数年後にはこんなにも現実が変わるんですね・・・

いつも“ただ見せていただいているだけの自分”が、
ちょっとせつなくなるお花見でした。

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