*たわごとコラム

真っ正直なパン

先日、吉祥寺に用事ができたので、帰りがけに西荻窪のリスドォル・ミツに寄ってきました。天然酵母を使った完全無添加パンを売るお店です。
テレビでも紹介されたので、ご存知の方も多いかもしれませんね。

私はおいしいパンに目がないので、あちこちにお気に入りのパン屋さんがあるのですが、
安全へのこだわりという意味では、リスドォル・ミツに並ぶお店はないと思います。

このお店のパンは、無添加というだけではなく、使う材料全てが厳しく吟味されています。
粉や卵はもちろんのこと、スパイスや水に至るまで。
テレビ番組では、店長さんが自ら定期的に山梨に水を汲みにいったり、
地鶏の卵を仕入れに行ったりしている様子が紹介されていました。
国内では入手できないオーガニックのバニラ・ビーンズは、
わざわざフィジー島の農園まで直接買い付けにいくのだそうです。

そんな真っ正直なパンを食べながら、ふと
『一点のうそも妥協もない食べ物は、今この世界にどれぐらいあるだろう?』
と考えてしまいました。
食品の安全性に対する不安が絶えないこの時代にあって、
こういうお店は国の宝だといっても過言ではありません。

リスドォル・ミツのパンは、一般的なお店よりも2~3割お値段が高いにもかかわらず、
いつ行っても、店先はお客さんでにぎわっています。
そんな光景を見ていると、日本にもまだ希望があると思えてくるんですよね。

食の安全を求める私たち消費者が、偽装した業者たちを避難しながら、
結局、安さという基準だけで買い物をし続けるなら、
それはやはり、どこか矛盾しています。
できるだけ誠実な作り手からものを買うこと、
それが、努力し続けている彼らへの応援にもなりますし、
ひいては、食品業界全体の改善にも繋がるはずです。
たくさんの人が、選択的に誠実なものを買うようになれば、
不誠実なものは生き残れなくなるのです。

そうして、誠実なものが“普通”になれば、
良いものがより安く流通するようになるはずです。

無添加パンを広めようとしたリスドォル・ミツの店長さんも、
かつてはさんざん「そんなものは商売にならない」といわれたそうです。
誠実でいることの方が難しい世の中なんて、本当に悲しいですね。

こんな時代ですから、誰もが少しでも倹約したい思うのは当然ですし、
良いものだけを食べ続けるというのも、現実的には無理なのかもしれませんが、
食は直接命にかかわるものですから、食べる量を減らしてでも・・・
と我が家では思っています。
(といっても、実際には、まったく減らせないんですけどね。苦笑)

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