*たわごとコラム

クロッキーが教えてくれたこと・・・その3

もしかするとクロッキーは、私たちと一緒にいることを望んでいないのではないか・・・
と子犬の頃は時々そう思いました。
異常な程人間を怖がっていましたし、普通の子犬のように
じゃれてきたり甘えてきたりすることがなかったからです。
少なくともうちに来たばかり数日間は、
囚われの身の気持ちでいっぱいだったに違いありません。
なんてったって、車で拉致?されてきたわけですから。

けれどもその後、リードなしで歩いても、家中の窓やドアを開け放していても
決して逃げなかったので、
どこかの時点でうちにいることを選んでくれたのだと思います。

犬とはいえ人間と一緒に生きるからには、
やはり多少のルールを学んでもらう必要があります。

ちまたには、いわゆる“犬の躾マニュアル”のような情報があふれていますが、
私たちは、そういうマニュアルを読んだこともありませんし、
クロッキーに、“躾”自体をした覚えもないのですが、
何故かクロッキーは一通りのことをなんでもすぐに覚え、
私たちを困らせることはありませんでした。
例えば、封の開いたおやつを側に置いておいて目を離しても、
それを勝手に食べてしまうことはありませんでした。
部屋を荒らしたり、ものをかじったり、無駄吠えをしたり、
そういうことは一切しませんでした。
逆に言えば、まったく犬らしいところがなくて、
「もっとわがままをいってもいいんだよ」と思う程でした。

私たちが困ったな~思うことがあったのすれば、
クロッキーのことをかわいがってくれる人にさえ、
なかなかなつかなかったことくらいです。
知らない人に突然に頭をなでられたりするようなことを、
クロッキーはとてもいやがりました。

「え~?」っと思われるかもしれませんが、
クロッキーは、時々ため息をつきました。
うなだれて、ただじ~っとしていることもありました。
嫌いなものをもらっても、気を遣って無理矢理飲み込んでしまったりしました。
散歩から帰ってくると、「入っていいんだよ」というまで家に入らず、
「本当に入ってもいいの?」というような顔をしてずーっと待っていました。

とにもかくにも、私たちにとってみれば、
『こんな犬もいるんだ・・・』と思うようなことばかりでした。

そんなクロッキーと、それでもいつの間にか通じ合えるようになったのは、
やはり“会話”ができるようになったからだと思います。

といっても、私たちが犬語を修得したというわけではありません。(笑)
犬語を話せない人間と、人間語を話せない犬でも、
ちゃんと会話が出来るのだということ、
少しずつ少しずつ学んでいったのです。

・・・つづく

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