*たわごとコラム

梱包にもお国柄

うちは洋書を扱っているので、毎月いろんな国から小包が届きます。
これまでに相当数の荷物を受け取りましたが、
今でも毎回、箱を開けて中を確認してみるまでは、ドキドキヒヤヒヤです。
とにかく、輸送中に荷が傷んでしまっていることがとても多くて、
受け取った時点で大きなため息が出てしまうことも少なくありません。

まあ、遠い所から海を越えてはるばる運ばれてくるのですから、
外箱に関しては、全くの無傷という訳にはいかないでしょうが、
内容物の損傷は梱包の仕方である程度までは防げるはずなのです。

もちろん、その都度くれぐれも厳重に梱包して欲しいと依頼していますし、
時にはかなり具体的に指示することもあるのですが、
実際に荷を受け取ってみると、不十分だなと感じることの方が多いです。

どう考えてもダメージを受けて当然、というレベルから、
ものすごく頑張ってくれているのは分かるけど、
これじゃあやっぱり無理でしょう、というレベルまで。

梱包の仕方には、包んだ人の人柄が出ますが、お国柄も出ます。
例えば、国によって段ボールやテープの質が違い、それが大きく影響してきます。
外箱をわざわざ二重にしてくれているのに、そもそも段ボールの強度が足りないために、
荷が原型を留めていないとか、クッション材の質が悪くて何の役にも立っていないとか。

そんな小包を受け取る度に、
一昔前、モスクワで初めて買い物をした時のことを思い出します。
入国した初日に売店でビン入りの飲み物を何本か買ったら、
日本のスーパーで貰えるのと同じ様なビニールの手提げ袋に入れて渡してくれたのですが、
店を出て何メートルも歩かないうちに、突然持ち手の部分が切れて、
せっかく買ったジュースが全部割れてしまったことがありました。
日本ではあり得ないことですが、それが当たり前という国もあるのです。
だからもう、こういうケースはクレームのつけようがありません。

どんなものでも一定以上の質が約束されている日本のような国で生まれ育つと、
こんなことでも最初はちょっとびっくりしてしまうんですよね。

日本の当たり前が、他の国では通用しない。
文化の違いによる感覚の差は、一朝一夕には埋りません。
それが、諸外国から送られてくる小さな小包一つにも、如実に表れているのです。
そういう違いは、梱包だけではなく、もちろん商品そのものにも表れるので、
時には、輸送中にダメージを受けたものなのか、
送る前からそういう状態だったのか分からないこともあります。

でき得る限りの対処をしてきたつもりですが、
今では、100%日本の基準に合わせるのは無理だと悟りました。
国際小包を受け取る時のドキドキヒヤヒヤは、これからも続きそうです。

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