*たわごとコラム
初めて見る光
8月16日の夜、地元の海岸で行われる毎年恒例のお祭りを見にいきました。
日が暮れる時刻に灯ろう流しが始まり、
その後海岸線に250基もの“かがり火”が焚かれます。
その火が絶える前に、花火が打ち上げられてフィナーレ。
壮大なお盆の送り火です。
この街には他にもいろいろな恒例行事がありますが、
私にとっては最も印象に残るイベントです。
だから、1年前の8月16日も、2年前も、その前も、
どんなふうに過ごしたか、はっきりと思い出すことができるのです。
月並みな言い方ですが、「まるで昨日のことのようだ」と毎年のように思います。
「こんな風に、あっという間に年を重ねていくんだな」
「すべてのことが、ぱっと光ってぱっと消えてしまう花火のようだ」
来年もまた同じように
「まるで昨日のことのようだ」と思いながら花火を見上げているんだろうな、
と思って、ふと考え直しました。
それは、当然のことではないのだと。
過ぎてみればあっという間ですが、1年の間にはいろんなことがあって、
昨年の自分と今年の自分は、決して同じではありません。
取り戻すことができないものを思えば、「あっという間の1年」も
決して軽いものではないという実感が湧きます。
いろいろな変化があるにしても、
昨年と同じように花火を見上げることができるのは、とても幸せなことなんですよね。
「来年もここで、今年と同じように花火を見上げることができますように」
そう祈りながら見ると、見慣れたはずのかがり火や花火が、
すべて “初めて見る光” に変わりました。
とても美しい夜でした。