*たわごとコラム

人生はエラーだらけ

「僕の人生に初めて起きたエラー」
と、18歳のT.N は言いました。

エラー・・・
小学生の頃からコンピュータ少年だった、Tらしい表現・・・

彼の母であり、私の友人であるJさんは、1月に突然倒れて以来、今も眠りの中にあります。
それは、彼の受験日の前日でした。

N家とは、家族ぐるみの長いお付き合いで、
3人兄弟の長男Tとは、時折時間を忘れて、いろいろな話をします。

「私は君よりもちょっと長く生きているけれど、人生はエラーだらけだよ」
と、とっさに私は答えていました。

突然それまでの日常が変わってしまうような予期せぬ出来事をエラーというなら、
まさに人生はエラーだらけ。
そもそも予期できることなど、どれくらいあるだろう?

後になって思えば、18歳のTにとっては何の救いにもならない答えですが、
それは間違いなく “君よりもちょっと長く生きている” 今の私の実感です。

だからといって、私ごときに偉そうなことはなにも言えないのですが、
口先だけのきれいごとを言っても仕方がありません。

生きていれば、どんなことでも起こりうる。
それはおそらく、何人も抗うことのできない真実です。
若いTには、これからもたくさんの”予期せぬ出来事”が起こるでしょう。

ただあの時の会話では、
“予期せぬ悲しい出来事”のことばかり話していたような気がして、
少し言葉が足りなかった、と今になって思うのです。

“予期せぬ出来事” は、決して”悲しい”ことだけではないのだということを、
もっとちゃんと伝えるべきでした。
つまり、未来にはあらゆる可能性があるのだということを。

「例えば、君たち家族に出会えたこと。
 こうして成長した君と、心を割っていろんな話ができるようになったこと。
 自分の未来にそんなことが起こるなんて、私が君と同じ年だった頃には、
 予想もできなかったよ」

生きるって、悲しいことも多いけど、まんざら捨てたもんでもない・・・

それも間違いなく、”君よりもちょっと長く生きている” 今の私の実感です。

けれどもそんなこと、Tはきっと分かってる
・・・それでもやっぱり、ちゃんと言葉にして伝えたいのです。

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