*たわごとコラム

「奇跡のリンゴ」を読了

年末年始の休み中に「奇跡のリンゴ」を読了。

絶対不可能言われていた無農薬無肥料によるリンゴ栽培を実現させた
農家・木村秋則さんの記録です。
現在木村さんのところには農業関係者だけではなく
会社経営者から自殺志願者までが相談に訪れる上、
世界中から講演依頼があるそうですが、
この記録が一農家の単なる苦労話に過ぎないなら、
これほど大きな反響を呼ぶことはなかったでしょう。

確かに、全ての人間が気づくべき理に触れる内容でした。

それにしても、リンゴの無農薬栽培がそれほど難しいことだったとは・・・
この本を読んで初めて知りました。
全くの不勉強で、情けない限り。
普段『なるべく食べるものは自然食に』と心がけているつもりですが、
言われてみれば、減農薬はともかく完全無農薬のリンゴを目にしたことは
これまでに一度もありませんでした。
木村さんが無農薬栽培に成功した今でも、無農薬リンゴの絶対数は極僅かで、
簡単に入手することはできないようです。

以前、農薬会社に勤める知人がリンゴを剥く時に
上半分をかなりざっくり切り捨てているのを見てびっくりしたことがあります。
ヘタ周りのくぼみに農薬がたまるからだそうで、
社内では常識になっていると言っていました。
この本を読んでも分かるのですが、
通常の栽培方法だとリンゴにはかなりの量の農薬が散布されるようです。

「りんごは医者いらず」ということわざも、まんざら間違えでもないようなのですが 、
農薬のことを考えると複雑な気持ちになります。

これは「だったら食べなきゃいいじゃない」という単純な問題ではありません。
また、現代農業のリンゴ農家を責めるべき問題でもありません。
どうしてリンゴは、『無農薬栽培は不可能」と言われるような状況になってしまったのか、
まずはそこから知る必要があるようです。

教育問題や温暖化問題や、日本国債の現況を指摘して
子供たちの将来が心配だと憂う人がいます。
それらの話題にくらべると、
農薬と子供の将来がむずびつけられて語られることはあまり多いとはいえません。

「子供の将来」とはつまり、
「ありとあらゆるものにとっての未来 」と同義。

子供の未来を考える時、食の問題についてまったく無関心なのは、
致命的な認識不足なのだということが、この本を読むとはっきりと分かります。

ちなみに、この世界に木村さんのような人間がいるのだと知るだけでも
幸せな気持ちになります。
表紙の写真! 何とも素敵な笑顔ですよね。

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