*たわごとコラム

「プレシャス」という映画を観ました。

「プレシャス」という映画を観ました。
2009年に製作されたアメリカの映画です。
プレシャス・ブックスの店主としては、やはりこのタイトルは気になります。

precious(プレシャス)というのは、【貴重な】【大切な】という意味を持つ形容詞で、
例えば「precious books」というようにbookという単語と結びつけば、
「貴重な本、大切な本」という意味になります。
といっても、何を大切だと思うかは人それぞれなので、
博物館に展示されるような本を「precious book」という人もいれば、
子供の頃に持っていた思い出の絵本をそう呼ぶ人もいます。
ちなみに、このショップをプレシャス・ブックスという名前にした理由は

” P R E C I O U S  B O O K S ” って?」
のページに書いた通り。

さて、この映画に描かれた「プレシャス」とは、いったいなんなのでしょう。

それは・・・16歳のアフリカ系アメリカ人少女の名前でした。
クレアリース“プレシャス”ジョーンズ、彼女はハーレムに住み、
悲惨な運命を生きています。

彼女に“プレシャス”という名前を付けたのは母親です。
親にとって我が子はかけがえのない宝物なのですから、
どんな子供も“プレシャス”のはず。
ところが、クレアリース“プレシャス”ジョーンズは、
実際にその名を持ちながら親から宝物として扱われていません。

ストーリーに触れるとネタばれになってしまうので、
ここでは感想に止めますが、
この映画を観て私は再び「プレシャス」について深く考えました。

「プレシャス」を、どんな名詞にも結びつけずに問うた時、
私にとっての「プレシャス」とは?
人間にとっての「プレシャス」とは?

冒頭にも記した通り、答えは人によって違います。

大切だと思うことも、大切だとおもうものも、複数あると思うのですが、
「一番・・・」はなんなのか・・・

自分の存在意義がまったく感じられず、
生きる希望が見いだせないような運命の中にあっても、
失われない「プレシャス」とは?

この映画には多分、人間にとってミニマムでマックスの「プレシャス」が描かれています。

絶望的な運命を生きる少女が、
「ホープ(hope)」ではなく「プレシャス(precious)」と名付けられているところが、
この映画の主眼点であり、メインテーマなのだと思います。

公式サイト
http://www.precious-movie.net/

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