*たわごとコラム

桜のほほえみ

いよいよ桜の花が散り始めましたね。
年に一度のこの麗しい季節を名残惜しんで、
もう一度だけ桜にまつわるお話を・・・

先日の新聞に、詩人・長田弘さんの「小さな本の大きな世界」というコラムが
掲載されていました。
佐野藤右衛門さんの『桜守のはなし』という本を紹介する内容で、
サブタイトルが「桜のほほえみ」。

桜守とは、その通り、桜を守る人のこと。
佐野藤右衛門さんは京都で16代続く造園業の当主で、
日本全国を飛び回り、傷ついた桜の手当てをし、
桜の新種をさがす「桜守(さくらもり)」です。

このコラムで紹介された佐野藤右衛門さんの言葉がとても印象的だったので、
備忘録としてここにその一部を転載させていただきます。

「桜は下をむいて咲きます。
他の花は太陽にむかって咲くのに 、桜は下をむいて咲く。・・・」

「毎朝かならずうちの桜畑をみてまわります。
桜の声を毎日聞いて、光、水、土、鳥、まわりの木に気をつけなあきません。
そのうちどれかひとつでもバランスが崩れると、桜は弱ってしまう。」

「種からそだつ桜はどれだけあると思いますか?たったの3種です。・・・
染井吉野や里桜のように、種でのこせない桜をのこすには、
人間が接ぎ木をしてやらなあきません。」

「旧暦の2月(およそ今の3月)、月が丸くなってくるのと同じころ、
つぼみはめいっぱい気張って、膨らんでくる。
この様子を『笑いかけ』といいます。
私は桜がやさしくほほえむ、この瞬間が、いちばんうれしいんですわ。」

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