*たわごとコラム

我が家が育てた椅子

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これは、結婚当時に買った木の椅子。
嫁入り道具なんてものは何一つありませんでしたので、
殺風景な部屋に、自分たちで買ったこの椅子が二つと小さなテーブルだけが
ポツンと置いてありました。

それから、長い年月が流れて、
少しずつ家具も入れ替わってゆきましたが、
この椅子だけは、未だに毎日使い続けています。

塗装も一部薄れてしまって、かなり年季が入っています。
結構ガタもきていますが、
身体がこの椅子に馴染んでしまったのか、何とも座り心地がよいのです。

当初は、『あれも無い、これも無い(何よりお金がない)』なんて思っていましたが、
『ひとつずつ揃えていく楽しみが、まだいっぱい残されてているんだ』
ということに気づいて、“ものが無い生活”もそれなりに楽しくなりました。
けれども、ものが増えたら増えたで、
そんな生活をなんとなく重たく感じるようになりました。

なんとも贅沢な話ですが、
私たちの場合は、自分の“分”というものを知るのに、
こうした試行錯誤が必要だったのです。

少しずつ“分”が見えてくると、本当に必要なものについて熟慮するようになり,
今では、家具を買うなんてことは滅多にありません。

けれども、どうしても必要なものができたら、
まずはDIYを考えて、それが無理ならこの椅子のように、
ずーっと先まで使い続けられるような、愛着の湧くものを探そうと思っています。
そして、見つからないうちは不便でも買わないと固く決意しています。

部屋を見渡してみると、長く使い続けているものは、やっぱり木製ものが多いです。
意識してそうしたわけではないんですけどね。

ところで、最近になって気づいたのですが、
椅子をひっくり返したら、裏にこんなシールが貼られていました。
この椅子は・・・

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チェコスロバキア製でした。

この椅子を購入した当時は縁もゆかりも無い国だと思っていましたが、
その後旅をして、彼の国の素晴らしい本たちに出会い、
今こうしてプレシャス・ブックスでご紹介しています。

チェコとスロバキアは、その後別々の国になり、
今では、そのどちらもがとても縁の深い国の一つになっています。
旅で訪れた時に初めて出会ったのだとばかり思っていましたが
どうやら私たちは、結婚当初からずっとチェコ・スロバキアに
お世話になっていたようです。(笑)

そう考えると、家具にも縁というものがあるのかもしれません。
“縁”を感じる家具を選べば、間違いないかもしれませんね。

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