*たわごとコラム

女性店主の古書店

チェブラー”シュカ”の一件で、最果ての店プレシャス・ブックスにまで影響が及んだ
テレビドラマ「ビブリア古書堂の事件手帖 」が最終回を迎えたようです。
チェブラー”シュカ”騒ぎがあったので、終盤の数回だけ観てました。

主人公の古書店店主は、今をときめく剛力彩芽さん。
原作のイメージとはかなり違うそうで、当初はファンからの反発もあったようですが、
私は原作を読んだことがないので、特に違和感はありませんでした。
けれども現実世界では、こんなに可愛い古書店店主に、
未だかつて出会ったことはありません。(笑)
こんな店主が毎日店番をしているなら、特に古書好きじゃなくても
足しげく通ってしまう人がたくさんいそうですよね。

そもそも古書店で女性店主というのは、比較的少ないような気がします。
私もこれまでに相当数の古書店に足を運んでいますが、
日本はもちろんのこと、どこの国でもやっぱり男性店主の方が
圧倒的に多いような気がします。
もちろん、店番をしているスタッフさんやアルバイトさんは
結構女性であることも多いのですが、
その人が店主であるかどうかは、かもし出す雰囲気でだいたい分かります。
(ちょっと本について質問すれば、ほぼ確実に分かります。)

数が少ないという理由もあって、私の中で“女性店主の古書店”というのは、
いずれも深く記憶に残っているのです、

例えば、ドイツの古書店では・・・

店に入ると、
50代ぐらいの女性店主が奥から出てきて声をかけてきてくれました。

「どんな本をお探しですか?」

「子供の本を」

「それでしたら、こちらです」

奥の部屋の入り口にある本棚の、
下から2段目までが児童書のコーナーになっていました。
そこは、カウンターからとても目が届きやすい場所でした。
もちろん、「下から2段目まで」というのは、子供の身長を考慮してのことです。
こういう配慮がある店は、実はそんなに多くはありません。
しゃがみ込んで本を探そうとすると、
店主はすぐに小さな椅子を持ってきてくれました。

「どうぞごゆっくり」

「ありがとうございます」

しばらくすると、飼い猫らしき黒猫が足下をよぎって行きました。
店内にはいくつか趣味のよいオリエンタルな置物が飾ってあって、
猫は「ムサシ」と呼ばれていました。

オリエンタルな置物と言えば、チェコにもそんな古書店がありました。
店主は50代~60代の女性で、店内に仏陀の像が飾ってありました。
この店には子供の本がたくさんあって、結構じっくりと本を見させてもらっていたのですが、
しばらくすると、店主が声をかけてきてくれて飲み物をごちそうしてくださいました。
店の奥に、小さな丸テーブルと椅子が用意されていたのです。

いずれの店でも、店主のさりげない気遣いが心地よく、
ついつい長居をしてしまいました。
「訪れる人にさりげなく居場所を作ってくれる古書店」・・・そんな印象です。

ビブリア古書堂も、そんなイメージの店でしたよね。

えっ?冷たくされても通いたい???
 
どうぞご自由に。(笑)

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