*たわごとコラム
日の丸
ゴールデン・ウィークの最中、散歩の途中で、
玄関先に国旗を掲げているお宅を何軒か目にしました。
祝日が旗日と言われる所以ですが、今となっては珍しくなってしまった光景です。
私は日の丸を背負った経験もありませんので、
自国の国旗という以上に特に思い入れもないのですが、
学生時代、グッドデザインをテーマにした雑誌記事で、
日本の国旗が取り上げられているのを目にして以来、少し見方が変わりました。
それまでは、日の丸を『デザイン』という視点で見たことなどありませんでした。
このデザインは太陽信仰に由来するそうで、真ん中の赤い丸は太陽を表しています。
そんなこと今さらいわれなくても誰にだって分かることだよ・・・
という声が聞こえてきそうです。
けれども、 その『誰にだって分かる』というのが、
グッドデザインであるといわれる理由の一つなのです。
どのような見方をするにせよ、日の丸が『そもそもグッドデザインとは何なのか』
という根元的な問いにまで意識を広げてくれる意匠であることは確かです。
シンプルにして、深淵。まさに究極の域。
自国の国旗から「デザインとは何ぞや」を学び、
グッドデザインとはどういうものなのかを少しだけ理解できるようになって、
ずいぶん視野が広がりました。
ちなみに、『明治時代に、イギリス、フランス、オランダから、日の丸の意匠を買い取りたいという依頼があった』という説があります。
真偽は不明ですが、あり得ないことでもなさそう。
こんな話を聞くと、どういうわけかちょっと誇らしい気持ちになるのは、
やっぱり自分が日本人であるというアイデンティティーの表れですかね?