*たわごとコラム

そもそも、なんでプレシャス・ブックス?

そもそも、なんでプレシャス・ブックスなのか、という話。

 

むか〜し昔(かなり昔)、私は商品開発の専門会社に勤めておりました。
企画開発からデザイン、生産管理、販促、特許や実用新案の取得までを行う会社で、
食品からファッション、雑貨まで、様々な業種の商品開発を請け負っていました。

商品開発というのは、詰まるところ「売れる商品を生み出す」仕事です。
もちろん、そうでない”商品開発”もありますが、どんな企業も利益を出さなければ存続不可能ですから、
基本的には売り上げ向上を目指しています。
商品開発を請け負う会社の使命は、取引先の社内企画では難しい想定外のヒット商品を生み出すことなのです。

私が携わっていたのは主に企画デザインから販促まで。
入社してからしばらくは、自分が企画・デザインしたものが商品になったり、
メディアに載ったり、実際に反響があったりしてとても充実していました。
なにせ、いろ~んなことができる仕事だったので、とってもやりがいがあったのですが、

だんだん・・・そう、ここからが本題なんですけどね・・・
『この商品は、本当に世の中に必要なの?』みたいな疑問が湧いてくるようになってしまったんですよね。

甘い、って言われればそれまでなんですけど、(実際に言われたことあるし)
一度そう考え始めたらもう後戻りはできませんでした。
まだ若かったし、守るべきものもなかったし、真っ直ぐだったんですよね〜。
(って、いつから曲がってしまったのかしら?)

実際に、良いものが必ずしもヒットするとは限らないし、
どんなものでも、広告の仕方次第で売れたりするし、
そもそも、”商品開発”の仕事では「良いものとは何か」という問いは、決して最優先ではないのです。
つまり、「良いもとは何か」ではなくて、「売れるものは何か」っていう基準にどうしてもなってしまうのです。
もちろん、日本は誠実な国ですから道を大きく外れることはあまりないのですが、
それでも販促を目的とする広告は大なり小なり虚構の世界です。

例えばですよ、”切れない電球”が発明されたとします。
安価で、環境負荷が少ない”切れない電球”は良い商品ですが、
電球は一定期間で切れるからこそ消費されて、売れ続けるわけです。
切れない電球は利益がでないので、もしも技術的には可能だとしても、
積極的に販売されることはないかもしれません。
これは、あくまでも「例えば」の話です。

売れるものをたくさん作り続けて、消費し続けて、いつかゴミになって、それでも作り続けないと豊かになれない?
そんな消費社会で、本当にみんな幸せになれるのだろうか?
今幸せでも、その幸せは存続可能なのだろうか?
って、若かかりし頃の私は真剣に悩んでしまって、いつしか”商品開発”の仕事を続けることが苦痛になり始めました。

だったらどうすればよいのか?

あれからだいぶ時が経ちましたが、未だに答えを見いだすことができません。
ず〜っと自己矛盾だらけです。

同じように感じている人は、実は結構多いのではないかと思うのですが、どうでしょう?

そんなこと言っていたら、暮らしていけなくなってしまうとか、
家族を守れなくなってしまうとか、
そういう理由で深追いしないようにしている、あるいはあえて考えないようにしている、
意識的にしろ、無意識にしろ、そういう人は少なくないのでは?
 
 
 
・・・ちょっと長くなってしまったので、つづく。

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