*たわごとコラム

アーティスト、という生き方。

多賀網代文化展が終了しました。

年代も分野も様々な方々による展示会だったので、会場はとても賑やかでした。

この文化展では、ささやかながらお手伝いをさせていただいていることもあって、
通常とはまた違った見方で、それぞれの作品を鑑賞させていただくことができました。

普段美術館などで作品を鑑賞する時には、
作家さん自身のことを直接知っているということはあまりないと思うのですが、
今回は工房にお邪魔させていただいたり、
お酒を酌み交わしながらお話しを伺ったりして、
作家さんの人生観や価値観などに触れた上で、その方の作品を拝見できるという、
とても恵まれた経験をさせていただくことができたのです。

先述の通り、この文化展の出展条件は「その道で生きていること」ですから、
趣味の領域の方はいらっしゃいません。
ちょっと短絡的な言い方になってしまいますが、みなさん人生がかかっています。

特にファイン・アートの分野の方々の生き方には鬼気迫るものがあります。

例えば、ゴッホの経歴を思い出してみてください。
今でこそ、歴史に名を残し世界中で絶大な人気を博す巨匠ですが、
生存中に売れた絵は1枚だけだと言われています。

作品が売れなくて食うや食わずの状況になっても、創作し続けるという選択。
どんな苦境に立たされても、創作意欲が途切れないということのすごさ。
パワーの源泉はいったいどこにあるのか?
凡人が頭で考えて理解できるようなことではありません。

あるいは、見るもの全て、触れるもの全てが作品に集約されてゆくという過程・・・
それを楽しみながら暮らすという風流な生き方。

あるいは、日々積み上げるということの、絶大な力。
継続することによってしか、生み出し得ないものがあるということ・・・

 
 
そもそもアートとは何なのか。

観る者をそういう思いにさせる時点で、その作品は既にアートなのかもしれません。
今回、そういうものを生み出し続ける作家は、生き様そのものがアートであることを知りました。

私にとっては、作品に触れること以上に人間(作家)に触れることの方がおもしろい、
そんな展示会でした。

今後は、展覧会や美術館に行った時の作品の見方が変わりそうです。

PADE TOP