*たわごとコラム

子供は子供だった頃

子供は子供だった頃
いつも不思議だった
なぜ 僕は僕で 君でない?
なぜ 僕はここにいて そこにいない?
時の始まりは いつ?
宇宙の果ては どこ?
この世で生きるのは ただの夢
見るもの 聞くもの 嗅ぐものは
この世の前の世の幻
悪があるって ほんと?
いったい どんなだった
僕が僕になる前は?
僕が僕でなくなった後
いったい僕は 何になる?

ずーっとずーっと昔に観た映画「ベルリン・天使の詩」に挿入されていた詩の一部。
何故だかこの詩を、今でも時々思い出します。

私も子供だった頃、不思議でした。
『時の始まりは いつ? 宇宙の果ては どこ?』
『僕が僕になる前は? 僕が僕でなくなった後 いったい僕は 何になる?』

だけど
『なぜ 僕は僕で 君でない? なぜ 僕はここにいて そこにいない?』と感じたのは
10代になってからのこと。
といっても、今となっては10代も充分に子供です。

最近、特に脳裏に浮かぶのが
『悪があるって ほんと? いったい どんなだった』
という一節。

子供の頃、突然何かを知って戸惑うことがありました。
例えば、生きているものはみんないつか死んでしまうのだということ・・・とか。
けれども、『悪があるって ほんと?』と感じた記憶が、私にはありません。
あったのは、親から躾けられた「いいこと わるいこと」の感覚と、
本やテレビから伝わってくる「悪ものと正義のみかた」のイメージ。
二元論的な善悪の定義は、いつの頃からかなんとなくインプットされていたのです。
大人になってからはむしろ、その定義の仕方が一層分からなくなりました。
もしも子供の頃の自分に
『悪があるって ほんと? いったい どんなだった』
と質問されたら、なんて答えたらいいのでしょう?

『この世で生きるのは ただの夢 見るもの 聞くもの 嗅ぐものは この世の前の世の幻』
この一節に至っては、とても子供が感じられるようなことではないと思ってしまいます。
もしも全ての大人がそれを感得できたなら、世界は変わるかもしれませんね。

けれどもその前に、大人と子供の境目すら分からない私です。

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