*たわごとコラム

「かむろば村へ」

友人に勧められて「かむろば村へ」という漫画を読みました。

お金恐怖症になってしまった元銀行員の青年が、お金無しで生きていくことを目指すというストーリーで、
今年の春映画化もされました。

友人からこのあらすじを聞いた時に思わず口をついて出てきてしまった質問。
「それで『お金無しで生きるって』どういうふうに描かれてるの?」

普通は、本を読む前にその内容を細かく聞いたりしません。
映画を見る前に、ネタをばらされたら怒ります。(笑)

なのに思わず聞いてしまったのは、私自身が日頃からお金最優先の社会に疑問を抱いているからで、
しかも『なら、どうすればよいのか』という答えが見つけられないもどかしさを常に感じているからに他なりません。

友人からの答えは
「作者も模索しながら描いていると思う」

3巻で完結の作品なのであっという間に読み終えましたが、
確かに、作者なりの明確な答えが示されているわけではありませんでした。

お金を「さわれない、使えない、欲しくない」というお金恐怖症の青年は、
自給自足の生活を目指して田舎に移り住みます。

「自給自足の生活」・・・現代社会に疑問を抱けば、誰もが一度は思い描くことではないでしょうか?
けれども現実はそんなに甘くない。「かむろば村へ」には、そのあたりがかなりリアルに描かれていると思います。

確かにこの作品から、明確な答えを得ることはできません。
けれども、ヒントは得られるのではないかと思います。

それは決して「自給自足の生活」への手引きなどではありません。

答えが分からなくても、自分に何が出来るのかが分からなくても、
考え続けること、そしてどんなに小さなことでもいいから行動を起こすことの重要性、なのだと思います。

例えその行動が一見無意味なことに思えたとしても、必ず目指すべき場所に繋がっているということを
この作品は教えてくれます。

「かむろば村へ」のような作品を読んでみることも、
小さなアクションのひとつになると思います。

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