*たわごとコラム

タイルの流し台

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ご近所さんの軒下に放置されている古い流し台。
コンクリートの型にタイルが貼ってあります。

むか〜し昔、こんな流し台が現役で使われていたのをおぼろげながらに覚えています。
いずれも形はだいたいこんな感じでしたけれど、タイルの貼り方は様々で、いろんなデザインがありました。

今見ると、なかなか可愛いですよね。

最近、古民家がブームになったりして一昔前の生活様式が注目されていますので、
こんな流し台もどこかで話題になれば、あっという間に復活しそうですね。
規格品があふれた今の時代は、便利だけれどやっぱりどこか味気ない・・・
だからこそ、こんなものが今更ながらに新鮮に見えるのだと思います。

無い物ねだりともいえるけれど、やっぱり人の手が感じられるものは魅力的です。

田植え体験

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近くの小学校で行われた「田植え体験」のワンシーン。
毎年地元の年配の方たちの協力で行われている、恒例の課外授業です。
今年は縁あって店主Bにお声がかかり、助っ人に入りました。

なんでも、小学校の校庭に土を運び込み、ポリバケツの中で泥を作ってそこに苗を植えるのだそうです。
その後、選ばれた子供たち数人がこの写真に映っているように、「泥の中に足を入れる」という体験をするのだとか。

海と山に挟まれたこの街には田んぼがありません。
なので、リアルな「田植え体験」は難しいのです。
それどころか、田んぼを見たことがない子も、もしかしたらいるかもしれません。
そんな状況に危機感を抱いて、ご年配の方たちは一生懸命この課外授業を続けています。
あくまでも、稲と泥に触れるだけの体験ですが、例えバケツの中に作ったミニチュア田んぼでも、
泥に触れたその感触は、一生の思い出になるでしょう。

私が通った東京の小学校でも、「田植え体験」の課外授業がありました。
校庭の隅に穴を掘り、ビニールシートを敷いて泥を入れるという、わりと本格的な田んぼ作りでした。
泥の中に素足を入れるという体験は、今でも鮮明に記憶に残っています。

五感の中でも、触感に残る記憶というのは、ことさら鮮やかに記憶に刻まれる気がします。

わざと水たまりの中に入っていって、雨が長靴に入って来た時の感触。
海や川で、手や足を水に浸した時の冷たさ。
生き物に触れた時のちょっとドキドキする感じ。

言葉では表しきれないものが、一瞬で自分の中に流れ込んできて、
驚いたり、ワクワクしたり、ひるんだり、感動したり・・・

そんな経験が、今の子供たちには不足しているのかもしれません。

「田植え体験」でたらいの泥に足を浸した子供たちの反応は、

最初は「痛い」、次は「冷たい」・・・けれどもだんだん楽しくなってきて「きゃ〜」「わ〜」とおおはしゃぎ。

子供たちの中に眠っていた種が、泥の中で急に芽吹いたようです。

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