*たわごとコラム

布の一生

先日、ハギレについてのコラムを書いていて、ふとこんな絵本を思い出しました。

 

c1608-10

 

「もぐらとずぼん」です。
「もぐら」というのは、言うまでもなくチェコの人気キャラクター「クルテク」のこと。
プレシャス・ブックスでも以前にご案内したことがあります。

その時の添え書き・・・

「誰かのお家の庭先に洗濯物として干してあった青いズボンを見て、どうしても欲しくなってしまったクルテク・・・悩みに悩んだあげく、糸の材料になる植物を育て、その糸から布を織り・・仲間たちの力を借りて、ついには素敵なズボンを作り上げます!
えらいっ!!どこの誰が、ズボンが欲しくなったからといって、糸の材料になる植物から育てようなんて思うでしょうか! この絵本は、夢を叶える方法を教えてくれているのです。」

服を自作する人は結構いると思いますが、糸から作る人は稀です。
クルテクのように服を作ったら、少しぐらい古びてきてもその服を簡単には捨てられないでしょうし、
作る過程で出たハギレさえも大切にすることでしょう。

パッチワークなど、ハギレを使った小物作りのアイデアはたくさんありますが、
なるべくハギレを出さず、布を使い切るようなデザインの服を作る・・・という考え方もあって、
実際にそういう服作りをする人を何人か知っています。その人たちは皆、
手織りの布を使っていたり、布を作る人たちと共に歩んでいます。

布を無駄にしない服といえば、日本の着物はまさにそういう作り方をします。
作る段階でハギレが出ないだけでなく、着古した後も他のものにリメイクしやすく、
昔の人は雑巾になるまで使い切ったといます。

私の母は洋裁も和裁もできる人でしたが、布どころか糸さえも大切に使い切っていました。
昔の人は皆そうだったのかもしれませんね。

断捨離ブーム?も手伝って、世の中に古着が有り余っているそうです。
ハギレどころか、服そのものが大量に捨てられているのです。
昔は物資に困っている国に送られることもあったようですが、
今や古着はもういらないと断られることが多いというニュースを目にしました。
大量に流入する古着に市場を奪われて、途上国の零細な繊維産業が破綻している例も多いそうです。

断捨離が終わったら「もぐらとずぼん」を開いてみませんか?
きっと何かをリセットできると思います。

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