*たわごとコラム

「絵になる絵本たち展」によせて

プレシャスブックスが独自で展示会を開催するのは、これが2回目。
前回は「旅先で出会った絵本たち展」と題して、東京の経堂で開催しました。
もう、10年以上も前のことです。

時は流れ流れて、絵本を取り巻く環境も大きく変化しました。
時代はすっかりデジタルへと傾き、世界中で出版不況が続いています。
どこに住んでいてもネットで注文すれば、本でもなんでも翌日には届くようになりました。

プレシャスブックスのような小さな本屋が、細々とながらも、
よくぞ続けてこれたものだと思います。

継続のモチベーションになっているのは、やはり「絵本の力」です。

絵本というと、子供に対する影響のみが語られがちですが、
私のように、絵本によって人生が豊かになっている大人もいるのです。
世界的に見ても、絵本が巻き起こすムーブメントについては枚挙に暇がありません。

「絵本の力」とは、一体なんなのでしょう。
今回の展示会の準備中に、ふと思ったのです。
プレシャスブックスの原動力となっている「絵本の力」は、
いったいどこから生まれてくるものなのだろうか・・・と。

私なりに考えてみたことを、ボードにして会場に掲げました。
ここに改めて、一部を掲載します。

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『絵本に宿るもの』

 なぜ、これほどにもたくさんの人が『絵本の力』を信じているのでしょう? 
「絵本には人の心を再生する力がある」と民俗学者の柳田邦男さんは言いました。

 絵本は基本的に大人が子供のために作るものです。
まだ人生の複雑さを知らない子供に伝えるべきものは何か、どうすればそれが澱みなく伝わるか、
絵本を作ろうとする大人は真摯に考え、表現しようとします。
そしてその過程で必然的に、自らの子供時代にも思いを巡らせ、より純粋なものへと近づいてゆきます。

 こうして生まれた絵本には、なにか善的なものが宿ります。
それがとても根源的なものであるがゆえに、
あらゆるボーダーを越えて人の心に作用するのではないでしょうか。(一部抜粋)
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大人が子供にもどり、あるいは寄り添って生み出す「なにか善的なもの」、それが絵本に宿る力だと思います。
その力によって、今回の「絵になる絵本たち展」も実現しました。

今後も出来る限り、「なにか善的なもの」に携わっていきたいと思っています。

それ以前に、プレシャスブックスが存続しているのは、お客様をはじめ縁をいただいた方々のおかげです。
(そして、と〜っても個人的な発言になりますが、いつも重たい本を運んでくれ、できうる限りの力を尽くしてくれる店主Bのおかげです。)

本当にありがとうございました。
今後ともこの小さな本屋を、よろしくお願い致します。

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