C O L U M N
“たわごと”コラム
 
2002〜2003
NO.9〜 NO.13
NO.14〜 NO.23
NO.24 〜 NO.34
NO.35 〜NO.49
NO.50 〜 NO.57
NO.58 〜 NO.72
NO.73 〜 NO.91
NO.92 〜 NO.114
NO.115 〜 NO.139
NO.140 〜 NO.154
2004〜2005



絵本についてのつれづれ
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洋古書探訪
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旅先で出会った絵本たち展
展示会報告
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絵本を巡る旅 - リポート
プラハ・ミュンヘン・パリ
東欧・ボローニャ
リトアニア
イスタンブール
ベルギー
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No.9

 なんか蒸し暑い日が続いていますね。最近のこの陽気で畑の野菜たちが急激に育ち始めています。おまけに雑草までが、あれよあれよと大きくなって、とっても手入れが間に合いません。ちょっと見たところ、「ここは空き地?」みたいな草ぼうぼうの畑になりつつあります。(焦)草むしりしようと思うと雨降るんだもんな〜・・・(雨のせいにするな)

「心がペトッとくっつく感じ」

 ゴフスタイン作の「ブルッキーのひつじ」は、ブルッキーとこひつじは大の仲良し!というストーリーの、小さくてシンプルな絵本です。あまりにもシンプル過ぎて、もしかすると、スッと心の中を通り過ぎてしまうかも知れません。けれど私はこの絵本が、とても愛おしく感じるのです。

 特選本棚「犬が好き!」でも少し触れましたが、私は1匹の犬と暮らしています。人気のない工業地帯に捨てられていた雑種犬で、その時生後3ヶ月くらいでした。平成3年の冬だったと思いますが、突然車の前に飛び出してきて、そのまま固まってしましまったその子を、家に連れ帰りました。

 色は黒、まゆ毛やほっぺたや手足が白くて、まるで“のらくろ”みたいです。その頃いつも私が持ち歩いていたクロッキーブックに色が似ていたし、とにかく黒かったので名前はいつの間にか“クロッキー”になっていました。(一応女の子なんですけど、これじゃ性別も不明だ・・・とあとになってちょっと反省)

 当時のクロッキーは、生後数カ月の間にいったい何があったのかな?と考えてしまう程、とにかく臆病な犬で、コロコロ転げ回ったり、じゃれついてきたり、そういう子犬らしい表情がまったくありませんでした。
 連れて帰ってきたその日、 小さな箱にタオルを敷いて部屋の隅に起き、寝床を作ってあげたですが、
それから数日間、クロッキーはまったくその箱から出ようとしませんでした。それどころか、人間が近くにいる間は、眠ろうともせず、全身で警戒しながら、カチンコチンになってこちらを見つめているのです。お客さんなんかが来ようものなら、震えながらおしっこを漏らしてしまうほど、人間を怖がっていました。

 毎日一緒にいて、一日何度も名前を呼んで、「恐くないよ」とことあるごとに語りかけました。時々クロッキーは「本当に信じてもいいの?」と伺うようにじっとわたしたちの目を見つめました。

 しばらくして、クロッキーが自分から私のひざの上に乗ってきた時には、本当にうれしかった。その時やっと、クロッキーに信じてもらえたような気がして、小さな頭をずーっとなでつづけていたのを覚えています。

 もうすぐ老犬の仲間入りをするクロッキーは、窓辺に座って外を見るのが大好きです。その隣にしゃがみ込んで、一緒にぼんやりと外の風景を眺める時、人間でないクロッキーと、犬でない私の心が、なんだかペトッとくっついたような、とても穏やかな気持ちになります。
 首輪は付けていませんし、窓はいつも開けっ放しなので、どこかにいってしまおうと思えばいつだって行ってしまえるのに、クロッキーはこの家にいてくれます。そんな家族の一員に私たちは「おまえの死際は、必ずみとってやるからね」と約束しています。

 「ブルッキーのひつじ」の最後のページでは、ブルッキーがこひつじをだきしめています。 そしてこう書かれています。

 「そうして、ぴったりよりそった。」

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No.10

 うわ〜、すごい雨だな〜。かなり台風が接近しているようですね。

「ただのいぬ。」- ピエ・ブックス

 この本は、「ただのいぬ。」というタイトルの子犬の写真集です。 子犬たちのかわいい表情を写したモノクロ写真がたくさん掲載されています。最近、犬や猫の写真集がたくさん出版されていますね。どれもこれもかわいくて、犬好きの私にはたまりません。
 けれど、 この写真集は他のものとちょっと違います。ここに写っている子犬たちは、みな保険所などに保護された犬たちなのです。

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 クロッキーがどこで生まれ、なぜあんなに人気のない淋しい場所をウロウロしていたのか、どうしてあれほど人間を怖がったのか、知る由もありません。 犬にも“生まれ持った性格” というものがあるといいますが、果たして生まれつきこんなに人間を怖がるなんてことがあるもんなんでしょうか?

 私は昔、よく子犬や子猫を拾ってきては母を困らせる子供でした。そういうことがあるたびに、自分にできることの限界を悟って悲しくなりました。

 数年前、江戸川の岸辺にすんでいた頃の記憶です。川沿いの土手や遊歩道は広々としていて、格好の犬の散歩コースでした。犬を飼っている近所の人たちのみならず、休日ともなるとわざわざ車で犬を散歩させにくる人もいる程です。
 ある晴れた日曜日、私はクロッキーと散歩をしていました。 土手の上の遊歩道を歩いていると、大きな四駆の車がやってきて、川岸のグランドに駐車するのが見えました。男の人が降りてきて反対側のドアをあけると、中から大きな犬が飛び出してきて、そのまま一緒に川の方に向かって歩き始めました。そこではよく見かける光景です。
 しばらくすると、男の人が駆け足で車に戻りました。もちろん犬も追い掛けてきます。ところがその人は自分だけ車に乗り込んで、犬を残したまま走り去ってしまったのです。犬はずーっと車を追い掛けていきました。車はどんどん加速して、犬はだんだん追いつけなくなりました。それでもずーっとずーっと犬は走り続けました。あの犬は、その後いったいどうなったのだろう・・・

 野生の動物は別として、私たちが自分たちの都合で人間界に連れてきてしまった動物たちに対しては、やはりそれなりの養護義務があるとわたしは考えています。犬のことだけを考えてみても、動物実験に使われる犬、人間たちの好みや売れ筋に合わせてブリーディングされる犬、不要物として人知れず処分される犬・・・何が犬にとって本当の幸せなのか、それは私にも分からないけれど、考えるだけで胸が痛みます。知り合いの獣医さんによれば、例えばダルメシアンなどは、生まれた時綺麗にぶちが出ていない子犬については、買い手がつかないために処分されることがあるそうです。

 雑種は“ただの犬”・・・でも本当は、血統書付きも “ただの犬”です。その命に、区別がある訳ではありません。

「ただのいぬ。」・・この本に、こんな詩が載っています。

  ふまれた草はいいました。
  痛いとか
  悲しいとか
  みじめなのではなく

  ふまれなかった草と
  何がちがうのか
  それだけを
  教えて欲しいと

こんな雨の日、捨てられた犬たちは、どこでどうしているんだろう。
初めから野生の動物たちとは、やっぱり違うよね。


No.11

 目が覚めたら台風一過、今日は太陽ギラギラでしたね。昨日の強風で畑は悲惨なことに・・・とうもろこしが、バッタバッタと倒れておりました。うちは農業で生計をたててる訳ではないから「あらあら・・・」くらいにしか思いませんが、農家の方たちは台風がくるたびに、強風が吹くたびに、ハラハラされているんですねえ。

 今日は一日新規ホームページの制作に時間を費やしました。紙の上ではいろいろレイアウトが浮かぶのですが、それを実際にWEBにするのは難しいものですね。Web制作の仕事をしている友人にいろいろ相談したところ「今時Flashぐらいは修得した方がいい」とバッサリいわれてしまいました。なんだかものすごいマニュアル本も貸してくれたけど、目次を読んだだけでも気が遠くなっちゃって、どうしても読み進むことができません。これって本当に必要なのかな?
 
 段階的にリニュアルしていこうと思ったのですが、かえってその方が大変みたいなので、この際いっせいのせ!でいきたいと思います。

 話は全然変わりますが、今日はサーファーにしてイラストレーターのYO氏が事務所に現れました。真冬でも真っ黒な顔をしていて、一見国籍不明。ものすごく個性的な存在感があって、彼がいるとあたりの空気が一瞬で南国化してしまいます。彼は時々仕事でバリ島を訪れますが、帰国直後は独特のオーラに磨きがかかって「エネルギー充填!」って感じです。ところが今回は、なんか元気がない・・・
 彼によれば「現地の人に“現地人”に間違われた」とのこと。その彼が日本のパスポートを持っていたため(当然か)、出国時に身に覚えのない質問をされたらしい・・・なんか・・・なんて慰めたらよいものか・・・
 ちなみに彼は、日本入国の際これまでに一度も、荷物検査をされなかったことがないそうです・・・


 
No.12

 今日は“絵本の紹介”---というのとはちょっと違います。

「THE HAPPY DAY」-「はなをくんくん」
Ruth Krauss (作), Marc Simont (絵)

 先日ご紹介した「ブルッキーのひつじ」、実はそのタイトルにちょっと気になる点があるんです。もともとのタイトルは・・・
 「BROOKIE AND HER LAMB」
“HER LAMB ”なのでもちろん「ブルッキーのひつじ」であることには、間違えないのですが、“BROOKIE”と“HER LAMB ”はANDでつながっているんです。それなのになぜか日本語版では“の”でつながっています。単に文法的な問題だけではなくて、この絵本を主題を考えるとやっぱり違うんじゃないかと思えてくるんです。

 私がクロッキーと対峙する時「私のクロッキー」とは思いません。クロッキーと私は、あくまでも同等です。

 でも「ブルッキーとひつじ」にしてしまうと、なんかよそよそしい感じもするし、「ブルッキーと彼女のひつじ」だと絵本のタイトルとして不適ですよね。むずかしいな〜。というよりも、こんなこと感じるの私だけか?

 今回UPした 「THE HAPPY DAY」は日本語版のタイトルが「はなをくんくん」。押しも押されぬ名作なので、今さら説明の必要もないかも知れませんが、念のために内容を少しご紹介しておきます。

 この絵本は、雪に閉ざされた森に、春が来た日のことを描いています。“春”が来たというよりも、“春の気配”が来た・・・という感じです。動物たちは厳しい寒さの中で、春がくる日を待ち焦がれていたのでしょうね。春の訪れを告げる、ささやかな、ささやかな気配にも、ものすごく敏感になっているのです。ある日ようやく雪解けの間に、たった一輪の小さな花が咲きます。その花のにおいにさそわれて、冬眠していた動物たちが鼻をクンクンさせながら顔をだし、その花を見つけてみんな大喜びするのです。

 待ち焦がれていた“春”が来た日は、動物たちにとって、この上もなくHAPPYな日、だからタイトルが「THE HAPPY DAY」なんですね。
 「はなをくんくん」は確かに音が面白く、印象的なタイトルですが、なんかちょっと主題から離れちゃってるような気がするのは、私だけでしょうか? だからといって直訳して「幸せな日 」っていうのも味気ないし・・・むずかしいな〜。あなたならどんなタイトルにしますか?

 翻訳って本当に難しいですね。 いつだったか知り合いの翻訳者が、「一期一会」をどう英訳するか、かなり悩んでました。「一期一会」・・・むずかしいな〜。日本語で説明するのも難しいのに・・・

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No.13

 昨日ご紹介した「THE HAPPY DAY」-「はなをくんくん」この絵本を久しぶりに開いたら、こんな本を思い出しました。

「地球/母なる星」―宇宙飛行士が見た地球の荘厳と宇宙の神秘
 ケヴィン・W・ケリー (編集/企画)

 大きさが36×26cm、オールカラーでかなり重量のある本です。定価は5970円、社会人になってまだ間もない頃「エイッヤー!」みたいな感じで購入したのを覚えています。

 アメリカや旧ソ連の宇宙船から撮影された、地球や月の写真集で、実際に宇宙に旅立った飛行士たちの言葉が添えられています。「地球は青かった」とか「・・・人類にとっては大きな一歩である」とか・・・ いくつか名言になっているものがありますよね。 けれどこの本には、もっと宇宙飛行士たちの、心のひだを写し出すような言葉が集められているのです。

 その中でも、私が得に印象深く覚えているのが、ソ連の宇宙飛行士の言葉です。宇宙船の中にある実験用の菜園について・・・

 「地球上の生命を育てているこの宇宙船の菜園が、どんなに大きな楽しみだったか、なかなか分かってもらえないだろう。菜園を見にいくとき、「さあ、森へ散歩に行こう」といったりしたものだ。地球の緑を見て育ったわれわれは、植物を見ると心が休まる。ちっぽけな植物のそばで横になるだけで、心がなごんだ。」--- ゲオルギ・グレチコ(ソ連)

 地球から離れ、暗闇に漂うちっぽけな宇宙船。その中から地球を眺めた彼等は、何にもまして自分自身の小ささを、しみじみ実感したことでしょう。そんな絶対的な孤独の中にあって、ちっぽけな植物をどんなにいとおしく感じるものなのか、想像するにあまりあります。

 「はなをくんくん」は長く厳しい冬のおわりに、いち早く咲いた、たった一輪の小さな花に、森中の動物たちが集まってくるというストーリー。その花を見つけた時の、動物たちの喜びようったらありません。
 「ちっぽけな植物」に対するいとおしさや喜びが、 ゲオルギ・グレチコさんの言葉からも、痛いほど伝わってくるのです。

 ソ連の宇宙飛行士の言葉をもうひとつ・・・

 「私たちは実験のため、小さな魚をなん匹か宇宙ステーションに持ち込んでいた。2週間ほどすると、魚は次々と死に始めた。とてもかわいそうな気がした。なんとしても助けたいと思い、あらゆる手を尽くした。地球ではさんざん魚釣りや狩猟を楽しんでいた連中なのに。地球を遠く離れて心細い思いをしていると、どんな形であれ生命というものがいとおしく、たいせつになってくる。」 -- ヴィタリ・ツォロボフ(ソ連)

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