C O L U M N
“たわごと”コラム
 
2002〜2003
NO.9〜 NO.13
NO.14〜 NO.23
NO.24 〜 NO.34
NO.35 〜NO.49
NO.50 〜 NO.57
NO.58 〜 NO.72
NO.73 〜 NO.91
NO.92 〜 NO.114
NO.115 〜 NO.139
NO.140 〜 NO.154
2004〜2005



絵本についてのつれづれ
-------------
洋古書探訪
-------------
旅先で出会った絵本たち展
展示会報告
-------------
絵本を巡る旅 - リポート
プラハ・ミュンヘン・パリ
東欧・ボローニャ
リトアニア
イスタンブール
ベルギー
-------------

 
イスタンブールの古本屋  

*プロローグ

今回はトルコ航空を利用したので、イスタンブールでのトランジットになりました。 目的地がヨーロッパの場合、同日乗り継ぎができません。せっかくなので街を散策してきました。

“アジアとヨーロッパが接するところ”それがイスタンブールの代名詞。ボスポラス海峡を挟んで西側がヨーロッパ、東側がアジアで、イスラム文化を基盤としながら、古今東西が混ざり合う混沌の街です。

この街を訪れるのは、今回で3回目です。20代の時、西ヨーロッパを周った後、アテネからバスで国境越えして流れ着いたのが1回目。その5年後に再訪。それからもう10年もの年月が経っています。 初回の滞在期間が長かったからか、私にとってイスタンブールは郷愁を誘う街。「あの店のおっちゃんは元気かしら?」とか、「靴磨きの少年はどうしてるかしら?」とか・・・日本にいても、時々フッと、思いが飛んでいってしまいます。10年間でこの街がどんなふうに変わってしまったか、ちょっと不安な気持ちを抱きながら、空港から旧市街へと向いました。

まずは、初めてこの街に流れ着いた日と同じように、アジア側や新市街への船着き場が並ぶエミノニュ桟橋をうろついて、“ 混沌”の洗礼を受けるところから散策をスタート 。船から吐き出される人々、物売る人・買う人、客引き、観光客、桟橋から釣り糸を垂れる人、行き交う車、トラム、大小の船、おこぼれを啄む鳩の群れ・・・西からきた物、東からきた物、昔からある出店、ピカピカのファーストフード店・・・・もう何もかもが、てんこもり。イスラムなのにビールやお酒も売られていて、見かけないのは豚肉ぐらい。“ごちゃごちゃ”の空気は、昔とまったく変わっていませんでした。

とはいえ、10年前はやっぱり‘ひと昔’です。インフレが進み、物価が上がり、西の文化へと近付きつつあるのは事実。その後ふらりと立ち寄った骨董屋のおじちゃんによれば、この10年でイスタンブールは何もかもが変わってしまったそうです。
「10年前、イスタンブールの人間はもっと親切だった。食べる物ももっとうまかったよ。良いものと悪いものが、はっきり2つにに分かれちゃったのさ。」
う〜ん、どこにいっても聞く話・・・そういえばプラハでも、古本屋のお兄さんが同じようなことを言ってました。

確かに、新しい空港やメトロができて、街は便利になっていました。物売りは減り、スーパーマーケットやショッピングモールが次々に建設され、特に新市街はヨーロッパの街と変わらない雰囲気でした。

それでも、トルコの人たちの人なつこさは健在でしたよ。観光地だけを歩くと、嫌な思いをすることが多いのですが、それはどこの国でも同じこと。
地元の人が利用する普通のお店に入れば、すぐに店主と打ち解けて話しができてしまうのがこの国の面白いところです。 たった1泊でも、顔見知りが何人もできてしまいます。店の前を通りかかっただけで挨拶を交わすようになったり、「まあチャイでもいっぱい飲んでいけ」と一日に何度も誘われたりします。

イスタンブールは“放っておいてくれない”街なのです。

“混沌”のエミノニュ桟橋

ゼロがいっぱいの紙幣
これで100円くらいの価値
いきなりお金持ち気分

骨董通りで情報収集

海を渡って古本屋へ


 
 

*イスタンブールの古本屋  

イスタンブールの古本屋といえば、 旧市街の大学前にある古本街が有名ですが(といっても大したことはないけれど)、偶然出会った日本語ペラペラのお兄さんによれば、ここで売られているのはテキストがメインとのこと。あまり面白くなさそうなので、船で対岸に渡ってみることにしました。

観光の中心となる旧市街には、とにかく日本語を話す人がやたらにいます。日本人女性と結婚している人や、かつて日本に住んでたと街の名前まで口にする人、あるいは日本人のお友だちがいるという人などなど・・・日本人と見るや寄って来る人がたくさんいて、トルコ語が全く話せなくても、路頭に迷うことはありません。(迷うことはなくても、目的地とは違う場所に連れ込まれてしまうことは、大いにあり得ます。例えば絨毯屋とか・・・)

エミノミュ桟橋から船に乗って約10分、そこはもう、観光とはほとんど無縁の、“素”のイスタンブール。日本語ペラペラのお兄さんが教えてくれた簡単なインフォメーションをたよりに、港に近い繁華街を歩き始めました。

1.2軒だけでも・・と思っていたのですが、この辺りには、本屋・古本屋が点在していて、迷うこともなくすぐに見つけることができました。建物の1フロアがほとんど古本屋になっているパサージュもあって、けっこう軒数も多かったです。パサージュ=PASAJとは、お店が集まった雑居ビル、もしくは○○横丁のような場所のこと。今回見つけたPASAJには、古レコード屋や古ビデオ屋なども出店していました。

「本がいっぱい〜〜〜!!」と歓喜したのもつかの間・・・なかなか、絵本が見つからない・・・ 私が捜したのは“トルコらしい絵本”・・・児童書は、あるにはあるのですが、ほとんどがテキストブックのようなもので、イラストのイメージもどことなくアメリカン。モスクや宮殿を飾る美しいイスラム装飾をイメージし、期待を膨らませていただけにちょっとガッカリ。新本屋さんでも、古本屋さんでも、心ときめく絵本にはついにめぐり合えませんでした。

ただ、やっぱりここは西と東の交流点、どこから流れてきたのか、アメリカの本やらヨーロッパの本やら、他国の本が少なからず見つかります。「こんな本がイスタンブールに!?」と思うようなタイトルが、本棚に何気なく並んでいたりします。そういう意味では、堀出し物が見つかる可能性も大。時間と根性さえあれば、思いがけない出会いがあるかも知れないのですが、どちらも持ち合わせない私は、まさに通りすがりの旅人・・・

そう、私は単なる通りすがりの・・・通りすがりたい・・・のだけれど・・・またもや人なつこいお兄さんに声をかけられ、大騒ぎになってしまった古本PASAJ。

「どこからきたの?日本?そう〜、何捜してんの?絵本??ねえ、そんなものある??(いろんな店の店主に声をかける・・・)ところでさ、ここの写真とって、日本で紹介してよ!!」

全部の店の店主が顔を出してこっちを見ているのが、右の写真からお分かりいただけるかと思います。

なんだかわからないけれど、私は店主全員に見送られ、ほとんど本を買うこともなくこの古本PASAJを後にしたのでした。

古本のパサージュ

本が野菜のように売られている

異国から流れてきた本も多い

昔のマガジン、 どういうわけか
やっぱりアメリカン・テイスト

私は記者でもなきゃ、テレビ局の人間でもありませんが、とりあえずプレシャスのサイトで紹介したので、約束は守りましたよ!お兄さん!