*たわごとコラム

民話の種–その2

大騒ぎが終わり、みんなが三々五々家路に付きはじめてすぐに
一人のおばあさんが、つい今までたくさんの人で賑わっていた場所に戻って来て
辺りをうろうろし始めました。
下を向いて、何やら探し物をしている様子。
まだ落ちているお餅はないかと探しに来たのかな?
と思ったのですが、どうも様子が違うようなので
一緒にいた店主Bが声をかけました。

「どうしたんですか?」

「いやね、さっき薬指にはめていた指輪を落としちゃったみたいなのよ。」

お餅を拾うのに一生懸命で、どの辺で落としたかもまったくわからないとのこと。
おばあさんが持っている袋は、収穫物でいっぱいです。
状況が状況だけに、落とし物が見つかる可能性は低いかもしれないと
おばあさん自身も分かっていましたが、もしかしたらと
施主さんも加わって、辺りをくまなく探しました。

けれども、結局指輪は見つかりませんでした。

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こんな出来事も、なんだか民話の種になりそうでしょ?
けれどもこのお話は、 店主Bのすっとんきょうな一言で思わぬ結末に・・・

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しばらく探し続けましたが、
ついに、おばあさんが切りをつけるようにいいました。

「いいのいいの、かまぼこの指輪だから、気にせんで。」

すかさず店主Bが不思議そうに一言・・・
「かまぼこの指輪??  生の?」

おばあさん、“生”の意味が分からず 「?????」
私 「・・・・」

“かまぼこの”というのは、ダイヤなんかがついていない
地金だけのシンプルな指輪のこと。
つまりおばあさんは、「そんなに高い指輪じゃないから心配なくてもいいよ」と、
皆に気を遣っているのです。

それをいきなり “生の?・・・”って・・・。
貴金属に疎い店主Bは、本当に“かまぼこ”で出来た指輪なのかと思ったそうです。

こんなてん末じゃ、民話にもおとぎ話にもならないな〜。

ところで、かまぼこって生?

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