*たわごとコラム

チェコの新風

チェコという国が、経済的にも文化的にも
近年大変な勢いで変化しているというレポートをよく目にします。

その変化は、かの国で出版される絵本にもはっきりと表れていて、
このコーナーでもたびたび話題にしてきました。
そのほとんどが、変化を残念と捉える内容だったと思うのですが
考えてみればそれも大きな偏見なので、
今回は、新世代の絵本をご紹介してみたいと思います。

下の写真の本は全て、BAOBABというチェコの若い出版社が出版した絵本です。
フランスやスペインなど、西欧諸国の絵本にはよく見られる傾向の作品ですが
チェコ絵本の歴史の中ではやはりニュータイプ。

確かに、西の影響を受けている、といえばそれまでで、
チェコ絵本黄金期といわれる時代の作品を見なれた目には
「チェコらしさはどこに?」という感覚を覚えてしまうわけですが、
そういう黄金期の作品も、“新しいタイプ”と言われた時代があったはずで、
結局いつの時代でも、ニュータイプは保守派勢力の抵抗?にあう運命なのです。

なんとなく他国の文化の影響を受けているとか、
新しい技術を取り入れたものの使いこなせていないとか、
時代にコスト削減を強いられているとか・・・
急激な変化の途上に出現する“新しいタイプの作品”というのは、
大方中途半端な印象のものが多いのですが、それでも機が熟してくると
真のニュータイプが出現して、それがいつか本流になっていくんですよね。

BAOBABのスタッフとは、一度展示会のブースで簡単に話したことがあって、
その時、とにかくパワフルな出版社だという印象を受けました。
出版物もディスプレイ方法も遊び心がいっぱい。
そこにいたスタッフは皆若い人たちで、楽しげに自社の絵本をアピールしていました。
まだまだ未知数の部分が多いけれど、
新しいものを生み出そうとする若いパワーに溢れた出版社です。

もしかするとスタッフのほとんどが、ビロード革命の記憶を持たない世代かも知れません。
それでも確かに、質の高い絵本で育ったであろう彼等が、
民主化や、EUヘの加盟や、デジタル革命や、インターネット普及などの影響を受けながら
今後どのような作品を生み出してゆくのか楽しみです。

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BAOBABの本はまだ一度もご紹介したことがありませんが、
どのタイトルもお取り寄せが可能です。

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