*たわごとコラム

見知らぬ人

平日は夕方になると
「子供たちの下校時間になりました。・・・」という
町内放送が流れます。
去年の夏頃から始まりました。

悲惨な事件がたて続けに起きて、登下校の時間に大人が付き添ったり、
防犯用のアラームを持たせたりする動きが強まりましたね。

子供たちが学校で防犯教育を受けている様子をテレビで見たのですが、
なんだか、ため息が止らなくなりました。

私が子供の頃にも「知らないおじさんにはついていってはいけないよ」と言われましたが
今では「知っている人にもついていってはいけない」と教えているのですね。

もちろん、子供たちを守るためには絶対に必要なレクチャーなのですが
“知らない人は皆怖い人、 知っている人でも、もしかすると怖い人”という部分だけが
片寄って子供たちの意識に刻まれていないか、ちょっと心配です。

私は今までに、本当にたくさんの“見知らぬ人”に助けられてきました。
例えば、海外で道に迷った時、向こうから声をかけてきてくれて
しかもその場所まで連れていってくれた人が何人もいます。
最終列車のチケットがとれなくて困っている時に、
車掌さんと掛け合ってくれた人もいました。
網棚に荷物を乗せる時に、すっと手を貸してくれた人・・・・
もう、数え上げたら切りがありません。
ふと現われて善意を示し、なんの見返りも求めずに
またふと消えていった人たちです。
それらの人たちはみな “見知らぬ人”でしたが
その人たちにとっても私は “見知らぬ人”だったはず。

もしも“知らない人は皆怖い人”という認識だけが機械的に
子供たちの意識に刻まれてしまったなら
私が体験してきたような善意の行為は、いつか失われてしまうでしょう。

それで、世の中は安全になるのでしょうか?

なんて・・・なんの解決策も見出せない人間が、
言うべきことではないのかもしれないんですけどね。

それにしても・・・由々しき時代ですね。。。

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