*たわごとコラム

平和になったベルリン

私が初めてドイツを訪れたのは80年代のことで、
その頃はまだベルリンの壁が東西を分断していました。
西ドイツを気が向くままに旅していましたが、東側はベールにつつまれた遠い国に思えて、
ついに足を向けることはありませんでした。
ベルリンの空港に降り立ったのは、壁が崩壊してだいぶ経ってからのことです。
自由になったとはいえ、まだまだ社会主義時代の雰囲気が
色濃く残っていたのを覚えています。
一つの街に、壁を隔ててまったく違う空気が流れていたベルリン・・・
戦後の平和な日本に生まれた私にとっては、得体の知れない違和感を感じる街でした。

最近、“善き人のためのソナタ”というドイツ映画を観て、
閉ざされていた時代がどういう状況だったのかを、ほんの少しだけ知ることができました。
東ドイツのシュタージ(秘密警察・諜報機関)のエージェントを主人公にしたストーリーで、
当時の東ドイツが置かれていた監視社会の実像を浮き彫りにしています。
舞台は1984年の東ベルリン。
自由が許されず、みんなが身を潜めて暮らしていたというこの時代に、、、、
私は西側を自由に旅していました。
つい先日のことのように感じます。とても“昔”という感覚ではありません。
壁が崩壊したのは1989年のこと。
ついこの間まで、東ドイツは社会主義国家として存在していたのです。

最近、そんな東ドイツの文化を紹介する本が増えました。
建築、グラフィック、インテリア・・・・

ベルリンの歴史を考えると、そういう本たちへの見方も変わってきます・・・が、
とにかく・・・平和になったということですね。
平和でなければ、自由に本を出版することもできません。
絵本でさえ、例外ではないのです。

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