*たわごとコラム

絵本を贈りたい

今、『絵本を贈りたい』と思っている人がいるのですが、あれこれ考えあぐねているうちに一週間も経ってしまいました。

その方は、亡き恩師の奥様で、ずっと昏睡状態が続いている息子さんの介護をされています。
先生が他界されてからというもの、お会いする機会もなくなりましたが、時折小さな文字がびっしり埋まったお便りをくださいます。先日届いたハガキに、息子さんの容態が記されていました。

返事を書きたい・・・そう思えば思うほど言葉に詰まってしまうのです。
私ごときには、背負っていらっしゃるものの大きさを推し量ることすらできません・・・そんなことを考えると、どんな言葉も薄っぺらく感じられてしまい、まだペンを取ることができずにいます。
絵本を贈りたいと思ったのは、そういう理由からです。絵本には言葉にならないものを表現する力があります。あるいは、かつて(プレシャス・ブックスを始めるずっと以前のこと)河合 隼雄氏の子供の本に関する著書をプレゼントしてくださったことがあるので、その記憶も動機の一つになっているかもしれません。

せめて、大変な思いをされている日々の中で、私たちへの手紙を書くために貴重な時間を割いてくださったことにたいしての、お礼の気持ちを伝えたい・・・
けれども、とても几帳面な方なので、絵本など送ったらかえって気を遣わせてしまうかもしれません。 それがどんなものでも、どんな理由があろうとも、贈り物とはあくまでも差し出す側の“我がまま”なのだと私はいつも思っているので、“何を贈るか”という以前に“贈るべきかどうか”というところから考え込んでしまうのが常なのです。

あーでもない、こーでもない、と考え続けていますが、それでもやっぱり今回は贈らせていただこうと思っています。どんな絵本がいいだろう・・・考えがまとまるまでには、もう少し時間がかかりそうです。

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