*たわごとコラム
「ソラノオハナシ」と「小さなへーヴェルマン」
以前、“旅先で出会った絵本たち展”を開催した時の
ギャラリーのオーナーさんから、
“ソラノオハナシ”という作品を見せていただいたことがあります。
昭和初期のキンダーブックで、
オーナーさんの思い出の絵本だということでした。
その時のコラムはこちら >>click!
今日UPしたドイツの絵本“小さなへーヴェルマン”を見ると、
“ソラノオハナシ” は、お話も絵もこの作品にとても影響を受けていることが分かります。
このキンダーブックが発行されたのは昭和14年こと。
この時代に、日本が西欧の児童文化から受けた影響の一端を垣間見るようで興味深いです。
乳母車のデザインとか、顔のある月とか、全体的にすごく洋風なのですが、
菩薩様や雷様が登場したり、部屋に囲炉裏があったりと、
エレメントのほとんどは日本独自のもの。
絵のタッチも、洋風でありながら浮世絵的でもあります。
今見ると、この不思議なリミックスがこの作品の魅力のひとつになっています。
とはいえ、西欧が日本の文化から受けたものも計り知れず、
今日UPした“小さなへーヴェルマン”の作風も、
ルーツを辿れば 浮世絵に行きつくはず。
日本に影響を受けた西欧の作品に、日本が影響を受ける・・・
文化というのは、とてつもなく複雑でダイナミックな共鳴現象を経て
築かれているものなのですね。