*たわごとコラム

クロッキーが教えてくれたこと・・・その5

犬には嘘がありません。
「嘘をつかない」のではなくて、嘘そのものがないのです。

考えてみれば当たり前のことですが、
この認識は私にとって、とても大きなものでした。

例えば犬に「今日の夕方、川岸にお散歩に行こうね」と声をかけたにもかかわらず、
急に用事ができてそれを実行できなかったとします。
相手は犬だからと、気にもせず川岸へのお散歩はそのままなかったことに・・・

犬は別に「嘘つき~」と人間を攻めたりはしません。
ですから、特に後ろめたい気持ちになることもないでしょう。
それどころか、自分が約束を破ったという自覚すらないかもしれません。

ただ、「今日の夕方、川岸にお散歩に行こうね」という言葉が意味を失っただけです。
けれども、何度も同じことを繰り返せば
「今日の夕方、川岸にお散歩に行こうね」という言葉は
その犬には永遠に通じないのです。
そうやって、悪気があろうとなかろうと
意味のない言葉(嘘)を発し続けると、犬には何も通じなくなります。
犬は、言葉に伴う人間の行動を見て、その言葉の意味を理解します。
嘘がない犬にとっては、実行されない言葉や気持ちのこもってない言葉は、
ただの音にしか聞こえないのかもしれません。

逆に、発した言葉を実行し続けると、犬は確実に人間の言葉を理解するようになります。
クロッキーにもそうやって、日々少しずつ通じる言葉が増えてゆき、
いつしか会話が出来るようになったのです。

どうしても約束が守れなくなった時は、
心から誤って理由をしっかり説明するべきだと思います。
胸で話すと、それはちゃんと伝わります。

そして、そうやって誠実な気持ちで犬と対峙していると、
犬の気持ちも少しは理解できるようになります。
自分勝手な解釈をせずに、仕草や表情をありのまま受け止められれば、
それがその子そのものなのです。
なぜなら、犬には嘘がないのですから。

・・・つづく

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