*たわごとコラム

クロッキーが教えてくれたこと・・・その7

犬は人間よりもずっと寿命の短い動物です。
それは、家族として迎え入れれば、必ず看取る時が来るということ。

その犬が若い頃には、そんなことはあまり意識することもないのですが、
年齢が進めば、日に日に衰えていゆくのを否応無しに目の当たりにすることになります。

特に10歳を過ぎると・・・
あまり遊ばなくなる、思いっきり走れなくなる、高いところに飛び乗れなくなる、
急な階段を下りれなくなる、身体が弱ってゆく・・・それは人間と同じです。
けれども10歳といえば人間だとまだ小学生、犬の寿命はつくづく短いと思います。

子犬の時にうちに来たクロッキーも、あっという間に成犬になり、
いつの間にか私たちの年齢を追い越してゆきました。

15歳を超えた頃からは、いつもお別れの時を意識していました。
15歳の頃のクロッキーはまだまだ元気だったんですけどね、
悲しいけれど犬の寿命のことを考えれば、
一緒にいられる時間があと僅かであることは明白ですものね。

もう、いつお別れの時が来るか分からない・・・
そう思うと、一緒にいられる “今” がとても愛おしく感じられました。
後悔したくなかったので、毎日のように伝えるべきことを伝えていました。

「クロッキー、生まれて来てくれてありがとうね。
 うちに来てくれてありがとう。
 クロッキーがいてくれるお陰で、私たちはどんなに幸せか分からないよ」

そんな時には、いつもはそっけないクロッキーが、
高い声で「クークー」と鳴いて顔中をなめてくれました。

私の思いは、しっかりとクロッキーに伝わっていると思います。
何せ、毎日毎日伝えていましたから。
そういう意味では、今でも後悔はありません。
伝えられなかった言葉はないと思えるからです。

考えてみれば人間だって、平均寿命が70歳以上とはいえ、
いつどうなるかは分かりません。
誰だって、明日も生きていられる保証など、どこにもないのです。

そう考えれば、 “今” は本当にかけがえのない時間。
誰に対しても、伝えたいことがあるならそう思ったその時に 、
伝えておかなければなりません。

私にとってその言葉はやっぱり、「ありがとう」です。

・・・つづく

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