*たわごとコラム

コンビニの猫

この町には、コンビニが一軒だけあります。
他のお店はみんな小さな個人商店で、スーパーマーケットは一軒もありません。
最寄りのマーケットまで歩いて行けなくもないけれど、ちょっと距離があるので、
特に車を使わないお年寄りや子供たちが、日常的によく利用しています。
私も、時々散歩の途中でおやつを購入したりします。

そのコンビニの駐車場に、一匹の白い猫が住みついています。
越してきた時にはもうここにいたので、
少なくとも6歳以上の猫であることは確かです。

いつも、お店に向かって一番右側の駐車スペースにいるのですが、
知り合いのおばあちゃんによると、そこはこのコンビニの店長さんが
自分の車を止める場所なのだそうです。
店長さんの車が止まっている時にはその下にいて、
最初見た時には、「こんなところにいたら危ないよ」 と思わず声をかけてしまいました。
だけど、実際には皆いつも猫がそこにいるということが分かっているのだそうです。

そのおばあちゃんは、バックの中にいつもキャットフードを持っていて、
コンビニに買い物に来る度に、この猫にごはんをあげています。

寒い冬をどうやって過ごしているのか、暑い夏の日はどうしているのか、
夜はどこで眠っているのか、
時々見かけるだけなので詳しいことは何も知らないのですが、
いつ見てもそこいるし、結構太ってるし、元気そうです。(笑)
毎日のように、おばあちゃんのような猫好きな人が
食べ物を差し入れてくれるのでしょう。

何かを求めて執拗にまとわりついてくる捨て猫もいますが、
この猫は、どこかの飼い猫みたいにいつも満足そうに座っていて、
ちょっかいを出す人にはそれなりに愛想よく振る舞っています。

コンビニに出入りする人間たちの方も、
この猫がここにいるということが、もう当たり前になっていて、
特にどうということはありません。

つまり皆が暗黙のうちに、この猫に「そこにいてもいいよ」と言っているわけです。
この猫は、この町の人たちの優しさをちょっとずつもらって生きているのです。
猫の方も自分の領分をわきまえていて、店の中に入ってきてしまうこともないし、
おねだりすることもありません。

こんなことがあると、保険所に通報する人がいたり、
餌をやる人を迷惑がったりする状況になりがちだと思うのですが、
どうやらここではそういうことが全くないようです。

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この猫を見る度に、なんだか平和な気持ちになって
『ここは、いい町だな』って思います。

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