*たわごとコラム

いいことノート

「いいことノート」をつけたことがありますか?

最初に考えた人が誰なのかは知りませんが、
時々、物語やドラマやエッセイにも登場します。

「よろこびノート」とか「元気ノート」とか「ありがとうノート」とか、
名称は様々ですが、いずれも自分が感じたポジティブなことを
書き留めるノートです。

確か、子供の頃に読んだ児童文学にも、そういうストーリーがありました。
悲運な主人公の少女が、懸命に“いいこと探し”をして、
つらい日々を乗り越えてゆくという筋書きです。
その少女がノートに記録していたかどうかはうろ覚えなのですが、趣旨は同じです。

実際に「よろこびノート」をつけることで苦境を脱したことがあるという作家さんの
エッセイを読んだこともあります。
どんなことでもいいから、その日、何かうれしかったと感じたことを書く・・・
最後に「・・・でうれしかった」としめくくる・・・

物語でも実話でも、 私の知る限りそのノートは、
苦しみの中で光を見いだすために使われていました。
出口の見えない暗闇の中で、
少しでも“生きる”ことに対して前向きになれるように、
どうにかこうにかポジティブと思えることを探し出し、ノートに記すのです。

そもそも苦境の中にいながら、ものごとをポジティブに捉えるなんて、
そう簡単にできることではありません。
ですから、ノートに記されるのは大抵日常の中のささやかな、
本当に他愛もない出来事ばかりです。

「今日はネクタイがうまく結べた」
「卵がちょうどよく茹でられた」
「時計を見たら、たまたま3時33分だった」
「公園でかわいい犬を見た」

とるに足らないようなことでも、それを記すノートを作ることで、
凍り付いた心が少しずつ、小さな光を感受できるようになってゆくのです。

少し趣旨が違うかもしれませんが、実は・・・私もつけています。
ノートの名前は「“たわごと”コラム 」。
そう、このコラムです。

一応、ショップのTOPページですし、
プライベートな日記を書くのとは心持ちが異なりますが、
それでもこのコラム欄は私にとって、
気づきや、感動や、感謝や、学びや、よろこび・・・を記録しておくノートです。

このサイトを立ち上げた当初、本欄にはお知らせや商品情報などを掲載していました。
時折、極短い店主からのメッセージを添えていましたが、
みなさんから、折に触れそのメッセージに対してのお返事をいただくようになり、
いつしか、こうした“たわごと”を連ねるようになってゆきました。

私は元来筆無精ですし、プライベートな日記やブログだったら
到底続けることはできなかったと思います。
そして、誰かの目に触れるかもしれないこの場所に
私というちっぽけな人間が、個人的な内容で記してもよいことがあるとすれば、
それはやはり、『分かち合えればうれしい』と思えるものだけです。
もちろん、それらはすべて、とても個人的で、
とるに足らないことばかりだと自覚しています。
その上、脱線することもしばしばで、なんの脈絡もないのですが、
そういう気持ちでコラムを書いていたら、
いつの間にか私なりの「特別なノート」になってゆきました。
「いいことノート」というよりも、子供の頃、
拾ったドングリや貝殻を入れていた「宝物箱」にイメージが近いかもしれません。

こんなへっぽこりんなコラムでも、今となっては数も増え、
小さいながらも確かな光となって、
道を見失いがちな私の足下を照らしてくれます。

いつまで続けられるか分かりませんが、続けられるうちは、
この「宝物箱ノート」にできるだけたくさんの
ドングリや貝殻を集めたいと思っています。

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