*たわごとコラム
橙の木が・・・
先週末、突然外からけたたましいモーター音が聞こえきて、
「何事かしら?」と窓から覗いてみたら・・・
それは電気ノコギリの発する音で、橙の木が根こそぎ倒されている最中でした。
「・・・・・・。」
何年も何年もかかって成長したであろう橙の木は、業者さんの電気ノコギリによって、
1時間もかからずに切り株になってしまいました。
2年に一度、春になると持ち主のおじいさんがこの木に登り、
小さなノコギリでコツコツ枝を剪定していました。
かなり大きな木が3本もありましたから、作業が終わるまでに何日もかかっていました。
そうやって丁寧に手入れしていた木を、こんなにバッサリと切ってしまうなんて・・・
いったいどんな理由があったのでしょう。
この辺りは傾斜地になっているので、
我が家のリビングは、橙の木を少し見下げるくらいの位置にあります。
ですから、この木にどれぐらいの実がついているのか、どんな鳥が集まってきているのか、
毎日のように観察することができました。
多分、下から見上げるしかない持ち主さんよりも、
この橙の木を見ている時間は多かったと思います。
この木には一対のつがいの鳩が巣を作っていました。
時折メジロがやってきては、葉影で羽を休めていました。
持ち主さんは、かなりのご高齢です。
きっときっと、それなりの理由があったのでしょう。
仕方ないとは分かっていても、
電気ノコギリの音は、耳にも心にもキリキリと痛く響きました。
そんなわけで、春だというのに今少し気持ちが沈んでいます。
巣を失った鳩はどうしているかしら・・・
多くを失った東北の方たちの悲しみはいかばかりかと、
ふと思いが飛びました。