*たわごとコラム

Henri’s Walk to Paris

Henri’s Walk to Paris

50年ぶりに復刊されましたね。
といっても、もう半年ぐらい経ちますが・・・

ヒッチコック監督の映画『めまい』や『サイコ』の
タイトル・デザインで知られるアメリカのグラフィック・デザイナー、
ソウル・バス(Saul Bass)がイラストを手掛けた絵本です。

コレクターたちの垂涎の的だったこの作品、
古書市場では長い間、相当な高値で取引されてきました。

復刊本は、PP加工が施されていないダストカバー付きで、
当時の版を忠実に再現したと思われる仕様になっています。

「足」と「手」だけで登場人物が表現されているのですが、それでも、
『パリに行ってみたい!』というアンリちゃんの冒険心が伝わってきて、
すんなりと感情移入してしまいます。

ところで、子供たちがこうした絵本に対してどういう反応を示すかというと・・・

これまでに何度か、いわゆるデザイナーズ絵本を実際に子供に読み聞かせしたという方の
書評を目にしたことがあるのですが、
おおむね「子供にはあまり受けない」という内容でした。

確かに、小さな子供と一緒にグラフィカルな絵本でイマジネーションを膨らませるためには、
ちょっと工夫が必要かもしれません。

だからといって、こうした作品を美術品のように扱うのはどうかと思います。

今でこそ、デザイナーが手掛けた絵本は珍しくなくなりましたが、
先駆けとなったソウル・バスやポール・ランドの作品が、
後続のアーティストに多大な影響を与えたことは言うまでもありません。

この絵本は、表現の可能性を広げ、アーティストの卵をたくさん育ててきたのです。

絵本によって育まれるのは、子供たちだけではないのですから。


Henri’s Walk to Paris
>> click! amazonで買えます!

PADE TOP