*たわごとコラム

青い街の青い本屋

こんなふうに本屋の報告ばかりしていると、
「本屋巡り」が目的の旅に映ってしまうかも知れませんね。
でも、本当は違うんです。

私の中では、今回の旅で”本”が占める割合は5%ぐらいです。
それでも、通りかかれば入ってしまう・・・
やっぱり根っからの本屋好きなのだと自覚しています。

これが最後のレポートになりますが、今回の旅で私が一番気に入った街の本屋です。
モロッコ北部の、Chefcauenという山間の街で、唯一見つけた本を売る店。

この本屋通り沿いを進んだ先に宿をとりましたので、
何度も通りかかりましたが、店主の姿を見たのは一回限り。

一応、毎日店は開いていましたのでちゃんと営業はしているようですが、
なんだかいつも無人の売店みたいな 雰囲気が漂っておりました。

店先に並んでいるのはマガジンやらテキストブックやら、
観光客向けのポストカードやいにしえの写真などなど・・・

新刊本なのか、古本なのか・・・
はたまた、新刊で入荷したものの、そのまま時を経て古くなってしまったものなのか・・・
今ひとつよく分かりません。

薄暗い店内に入っていきますと、無造作に積み上げられた本の中に古い机が置かれていて、
飲みかけのミントティーが一つ。

しばらく待ってみましたが、店主は結局現れませんでした。

いったいぜんたいどうしてこの店が営業を続けられるのか分からないけれど、
もしかすること、スーパーもコンビニもないこの街でなら、
こんな感じでも充分に生きていけるのかもしれないな〜、なんて
ちょっと羨ましく思ったりもしました。

どんなにゆっくり探しても、欲しい本は一冊もなかったけれど、
今回の旅で一番印象に残った本屋さんです。

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