*たわごとコラム

造本装幀コンクール

東京国際ブックフェアは、
規模が縮小したとはいえ大量の本が集まるイベントですから、
とても全てを見て回ることはできません。

それでも、毎回欠かさず見に行くのが、造本装幀コンクールの作品展示ブース。
1992年からブックフェアで応募全作が展示されるようになりました。
前年に出版された書籍を対象に関連業者から応募作を募って審査が行われ、
入賞作品は、毎年ドイツのライプチッヒで開かれている
「世界で最も美しい本展」にも出品されます。

審査されるポイントは、ブックデザインや印刷製本。
本文の文字組みや色使い、構成、レイアウト、カバーのデザイン、機能性、
材料の適性、印刷、製本などなど。

つまり、本という存在そのものの美しさや機能性が競われるのです。

なので、このコンクールの展示ブースに行けば、
とびきり美しい本をたくさん見ることができます。

最近は、凝った装丁の本がめっきり減りました。
出版不況のあおりなのでしょう。

お金をかけさえすれば本の価値が上がるというわけでは決してありませんが、
こういう時代だからこそ、あえてコストをかけて出版された本からは、
制作者の並々ならぬ情熱が伝わってきます。

また、特別なコストがかかっていなくでも、
制作者の企画力とセンスで、上質なオーラを放っている作品もあります。

いずれにしても、本を愛する人の強い思いと創造力がなければ、
形を成すことはありません。

このような本たちを見ると、「やっぱり本はすばらしい!」と再認識します。
この美しさは、決して電子ブックでは表現できないものなのです。

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