*たわごとコラム

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

あけまして、おめでとうございます。

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近くの海岸で撮影した初日の出です。
2016年、平和で健やかな一年になりますように。

 

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今年の年賀状は、何故かあさり。

Happy Holidays!

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今、机の上に置いてある絵本です。

「あなたが うまれた せかい」

この絵本の最後の一行は、こんな感じです。
「そうです。 あなたがうまれた せかいは、こんなに すてきなところです。」

けれども大人になってしまった私は、
本を閉じた後に思わず心の中でつぶやいてしまいます。

「このせかいは、すてきなだけではないんだよ。」

子供は大人になるにつれ、この世界には目を覆いたくなるような現実もたくさんあるのだということを知ってゆきます。
神様に文句を言いたくなる時もあります。
そんな時にこの絵本を開いたら、絵空事が描かれているように感じるかもしれません。

それでも私は子どもたちに、子どもであるうちに、この絵本に出会わせてあげたいと思うのです。

大人になって、この世界がまるで暗闇のようだと思えた時に、
子供の頃に出会ったこんな絵本が、小さな光となってくれるように。

普段は忘れてしまっていても、無意識の中に染み込んだ小さな光が、そんな時にこそ生きる力を与えてくれるように。

「この世界は真っ暗闇だ」と思えることをたくさん経験しても、
「それでもやはりこの世界は美しく、素敵だ」と感じている、大人になった私たちから、子供たちへ。

スロヴァキアの古本屋さん

ヘッダーに貼ったスロヴァキアの古本屋さん・・・もう少し中を覗いてみませんか?
店内を撮影した写真が何枚か出てきましたので、ご紹介しますね。

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入り口はこんな感じで、とても古本屋さんには見えません。
確か、扉のところに貼られているプレートに小さく店名が表示されているだけでした。
この扉をくぐるとすぐに地下に降りてゆく階段があって、ヘッダーの画像はそこから店内を撮影したものです。

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地下なので、窓がありません。
電球の明かりが灯る、あたたかな雰囲気の店内でした。

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本棚はおそらく店主の手づくりで、棚板が全てが本の重みに耐えかねて大きく歪んでいました。
それがまた、この店の味わいにもなっていました。

この本屋を訪れたのは、もう10年以上も前のこと。
通貨もユーロに変わりましたし、スロヴァキアもいろいろな意味で様変わりしたことでしょう。

今でもあるでしょうか?この古本屋さん・・・

時代が移り変わっても、おそらく私の記憶からは生涯消えることのない印象深いお店の一つです。

プレシャス・ブックスの秋

ヘッダーの画像を替えました。
今まで、季節に合った風景画像を貼っていましたが、今回はちょっと趣向を変えてみました。
これは、むか〜し訪れた古本屋さんの写真です。
スロヴァキアの田舎の古い街で偶然見つけたお店で、歴史を感じさせる建物の地下にありました。
本棚はおそらく全て店主の手づくりで、棚板が本の重みに耐えかねてかなり歪んでいたのが印象的でした。

秋ですねぇ。
暑くもなく、寒くもなく、奇麗な青空が広がるこの季節には毎年「どこか遠くに行きたいな〜」という気持ちがむくむくと湧いてきますが、ここ数年なかなか都合がつかず望みが叶いません。
こうして昔旅先で写した写真を見ると、心が遠く遠くに飛んでゆきます。

ショップに「特設本棚」というカテゴリーを新設しました。ここに近々「旅」をテーマにしたカテゴリーを作ろうと思っています。

ちょんちょこりん?

さっきMACの画面を見たら、「ちょんちょこりん」って表示されていました。

ちょんちょこりん?

実は、MACのスクリーンセーバにはWord of the Dayという設定があって、
これを選択すると、画面上に様々な日本語が次々と表示されては消えてゆきます。

知らない単語も結構多くて、後で辞書で調べたりすることも。

で・・・さっき偶然目にした単語が「ちょんちょこりん」
思わず見入ってしまいました。

ちょんちょこりん?

ここに表示されるということは、そういう単語が辞書に存在するということ。
早速調べてみたところ、

頭や衣服についている、ちょっとしたごみなど。「だれかさんの頭に―がとまった」

と、しっかり辞書に掲載されていました。

「だれかさんの頭にちょんちょこりんがとまった」
てなかんじで使うんですね。

「頭や衣服についている、ちょっとしたごみなど。」ということは、
ごみ以外でも、ちょっとした未確認物体なら何でも「ちょんちょこりん」ということになりますよね。

ほら、昔流行ったケセランパセランとか。
いやいや、もっとロマンティックに、小さな妖精とか??

突然、背後の人に
「あなたの頭にちょんちょこりんがとまってますよ」って声を掛けられたらどう思います?

一瞬立ち止まって、考えちゃいそうです。

ちょっと私の頭にもとまってみてもらいたいな〜、ちょんちょこりん。
なんとなく、福を呼びそう。

羽一本の重み

突然の秋

16日の日曜日、前の海岸で花火大会と百八体というかがり火をともすイベントが同時開催されて、
たくさんの人で賑わいました。

おそらく、一年で一番この街の人口密度が増える日です。

17日の月曜日は朝からぐずついたお天気。気温もぐっと下がりました。
昨夜まで賑わっていたビーチも人影まばら。

戸惑うほどに突然の、秋の気配です。

ビーチは特に、夏から秋への季節の移り変わりがはっきりしています。
お盆を境に海の色も空の色も変わり、クラゲが発生し始めたりして、
海水浴をする人もぐ〜んと減ってしまうのです。

8月上旬には猛暑が続いて、
「あ〜早く秋がこないかしら」なんてこぼしていたのに、
いざ秋の気配を感じると、やっぱり淋しい気持ちになるという身勝手さ・・・

まだまだ暑い日は続くでしょうが、それでも夏の賑わいは一年後までお預けです。

 

地球の障子

暑い・・・

言っても仕方ないけど、ついつい口にしてしまいます。
東京都心は猛暑日8日連続で 最長記録を更新したのだそうです。

もちろん、今となっては冷房なしにはとてもいられませんが、
少しでも涼をとれればと、窓辺によしずを立ててみたり、すだれを垂らしてみたり、
ベランダに打ち水をしてみたり、
冷房なんか無かった時代の暮らしの知恵を見直したりしています。
実際にやってみると、これが思ったよりも効果的。
こんなことでもかなり体感温度が下がります。

さらに効果を再認識したのが障子と縁側。

うちには東向きの和室があって、日の出の時間からお昼まで思いっきり日が差します。
夏は早朝でもかなりの温度になるのですが、この部屋には小さな縁側スペースもどき?が付いていて、
障子が窓から差す強烈な光をある程度和らげてくれるのです。
もちろん、縁側スペースはものすごく暑くなりますが、
障子を隔てた和室の方は急激に温度が上がるということはありません。
たった一枚の和紙にこれほど熱を遮る効果があるなんて驚きです。

今時の住宅では障子なんて、あったとしても
「和のインテリア」くらいの扱いになっていることが多いのですよね。
けれどもちゃんと理にかなった使い方をすれば、実はとても高機能な建具だったんですね。
他にも様々な機能があって、しかも心にも身体にも環境にも優しいです。

日本人なのに気付くの遅過ぎですよね。
そして一度気がつくと、こうしたものが失われつつあることがとても残念に思えてきます。

たった一枚の和紙が、あるのとないのとでは大違い。
こんなことが、もしかすると地球にも当てはまるのではないかという気がします。

地球を覆う大気の層。
土を覆うアスファルト。
大地を覆う緑。
波を遮る防波堤・・・

自然の変化は、和紙一枚程度の存在にも影響を受ける。
一見たあいもなく見えるものでも、浅はかな知恵でつくられたものはいつか不調和を生み出してしまう。

連日のこの猛暑、もしかすると地球のどこかで障子が外れてしまったのかもしれませんね。

タイルの流し台

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ご近所さんの軒下に放置されている古い流し台。
コンクリートの型にタイルが貼ってあります。

むか〜し昔、こんな流し台が現役で使われていたのをおぼろげながらに覚えています。
いずれも形はだいたいこんな感じでしたけれど、タイルの貼り方は様々で、いろんなデザインがありました。

今見ると、なかなか可愛いですよね。

最近、古民家がブームになったりして一昔前の生活様式が注目されていますので、
こんな流し台もどこかで話題になれば、あっという間に復活しそうですね。
規格品があふれた今の時代は、便利だけれどやっぱりどこか味気ない・・・
だからこそ、こんなものが今更ながらに新鮮に見えるのだと思います。

無い物ねだりともいえるけれど、やっぱり人の手が感じられるものは魅力的です。

田植え体験

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近くの小学校で行われた「田植え体験」のワンシーン。
毎年地元の年配の方たちの協力で行われている、恒例の課外授業です。
今年は縁あって店主Bにお声がかかり、助っ人に入りました。

なんでも、小学校の校庭に土を運び込み、ポリバケツの中で泥を作ってそこに苗を植えるのだそうです。
その後、選ばれた子供たち数人がこの写真に映っているように、「泥の中に足を入れる」という体験をするのだとか。

海と山に挟まれたこの街には田んぼがありません。
なので、リアルな「田植え体験」は難しいのです。
それどころか、田んぼを見たことがない子も、もしかしたらいるかもしれません。
そんな状況に危機感を抱いて、ご年配の方たちは一生懸命この課外授業を続けています。
あくまでも、稲と泥に触れるだけの体験ですが、例えバケツの中に作ったミニチュア田んぼでも、
泥に触れたその感触は、一生の思い出になるでしょう。

私が通った東京の小学校でも、「田植え体験」の課外授業がありました。
校庭の隅に穴を掘り、ビニールシートを敷いて泥を入れるという、わりと本格的な田んぼ作りでした。
泥の中に素足を入れるという体験は、今でも鮮明に記憶に残っています。

五感の中でも、触感に残る記憶というのは、ことさら鮮やかに記憶に刻まれる気がします。

わざと水たまりの中に入っていって、雨が長靴に入って来た時の感触。
海や川で、手や足を水に浸した時の冷たさ。
生き物に触れた時のちょっとドキドキする感じ。

言葉では表しきれないものが、一瞬で自分の中に流れ込んできて、
驚いたり、ワクワクしたり、ひるんだり、感動したり・・・

そんな経験が、今の子供たちには不足しているのかもしれません。

「田植え体験」でたらいの泥に足を浸した子供たちの反応は、

最初は「痛い」、次は「冷たい」・・・けれどもだんだん楽しくなってきて「きゃ〜」「わ〜」とおおはしゃぎ。

子供たちの中に眠っていた種が、泥の中で急に芽吹いたようです。

店主Bのコラム・デビュー

プレシャス・ブックスをスタートしてから13年、
ついに!?いよいよ??店主Bのコラム・デビューです。
「何か書いてみて」とリクエストしたら、こんな記事が上がってきました。

最初の一歩で何故に食コラム?・・・って感じですが、
食に限らず店主Bは手づくり大好き人間。
この記事は、最近我が家で一番盛り上がっている手づくり品についてのレポートです。

 


これってな~んだ!

 

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まるで、カマンベールのような形しています。(チーズ好きな私の先入観?)

答えは「米麹~♪ 」
今年のはじめから麹作りに嵌っています。もちろん目的は自家製味噌作りです。今まではずっと購入した米麹で作っていました。
米麹の原料は米と麹菌だけ!あとはなんにもいりません。
なのに今まで何故作らなかったのか?・・・温度管理が難しい上に、丸2日ほどかかると聞いて、結構大変な作業だと思い込んでいたのです。

ところが、やってみると以外に簡単♪
いくつかコツはあるのですが、今年に入り既に15回以上作っていて失敗はありません。
一回に作る量は200g〜300gほどで、現在はそのまま一週間分位の甘麹(あまこうじ)を作っています。
簡単に言うと甘酒の素! 水で1:1に薄めると昔ながらの甘酒になります。
少しの塩と生姜のトッピングもいいですね。
甘酒は飲む点滴と言われるほどブドウ糖成分が多く含まれ、身体に優しく栄養満点。
冬には温かく、夏には冷たく冷やしてゴクゴクと!
甘麹の作り方は、これも簡単~♪ 米と米麹だけ!
日本人のソウルフードとも言える美味しい飲み物です。

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今年の味噌作りには間に合わなかったのですが、来年には完全自家製米麹でお味噌を!と目論んでおります。
大豆も我が家で収穫した物を使うつもりです。
最終的には自分家の米で作ることができたら最高です。
ちょっとした先入観で、難しいと思い込んでいた自家製麹・・・(苦笑)
「やってみれば、簡単!簡単!」と友人の息子さん(小学3年生のころ)がいっていました。
本当!やってみれば、簡単!簡単!です!

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これが今年の自家製お味噌! 田舎味噌ですが、本当美味しいんです。
手前味噌でした~ぁ(笑)

 


 

というわけで、店主Bのワクワクぶりが伝わったでしょうか?
このワクワクが、我が家の味噌をかなり美味しくしていると思われます。

版の違い

出版年が異なる同じタイトルの本3冊が、今、手元にあります。
Jiri Trnka の代表作の一つ、「アンデルセン物語」です。

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これまでにも何度か入荷しご案内してきましたが、
今回入荷したのは1963年版、1973年版、1981年版の3冊で、
’63年版は残念ながらカバーがないのですが、体裁はいずれもほとんど同じです。

Trnkaの資料によればこの作品の初版は1957年で、それから体裁もほとんど変わらないまま幾度となく版を重ねました。
いったい何度重版されたのか資料には記載がありませんし、見当もつきません。

この本のように、ひとつの作品がほとんど体裁を変えずに何年にも渡って、しかも何度も出版されるという例は、
そんなには多くないのではないでしょうか。

良い機会なので、3冊をじっくり見比べてみることにしました。

まず、本体の表紙は布張りに金の箔押しで、ほぼ同じです。
本を開いてすぐに分かるのが、中頁に使われている紙質の違い。
一番古い1963年版は、アイボリーの少しざらつきのある紙で、1981年版は今の微コート紙に近い風合いです。
紙質が違えば、同じ印刷機を使っても仕上がりの色味が違ってきます。
もちろん、10年も経てば印刷技術もかなり変化していますので、当然同じイラストでも結構印象が変わってきます。

同じイラストのページを同じ条件で撮影してみました。

 

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1963年版

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1973年版

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1981年版

こうして比べてみると、その違いがはっきり分かります。

1963年版は色味が強くて、影の部分がはっきりしています。版が新しくなるにつれ、
微妙な色のニュアンスが柔らかく表現されている感じです。

残念ながら原画と見比べることができないので、どれが一番Trnkaが描いたものに近いのかは分かりません。
基本的に、出版社はなるべく原画に忠実に印刷することを目指すと思うのですが、全く同じように仕上げることは、最新の技術を使っても不可能です。

ただ、一般的に技術が進歩した現代の印刷物の方が、より原画に近づけることができると言えるかもしれません。

けれども私は、本は、印刷製本されて本になった時点が完成品だと思っているので、イラストが原画に近いかどうか以上に、仕上がった本自体が全体的に魅力的かどうかの方が大切だと思っています。

色に深みが出ている古い版と、微妙な色味が再現されている新しい版、どちらにも違った魅力があって、そこから先は好みの差。
プレシャス・ブックスが新古どちらの本も扱う理由でもあります。

1963年〜1981年のチェコの時代背景や、印刷技術の移り変わりなども加味しながらこの3冊を見比べると更に思うところがありますが、今回は長くなってしまったのでまた改めて。

この3冊は近日中に新着UPします。

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