• 1712-04

母と子の世界の文豪童話シリーズ 15巻

作者
川端康成 監修
出版社
研秀出版
発行・言語
1968年 日本語
体裁・頁数
ハードカバー+函 約106P
270×190×20〜mm
仕様
紙質:上質紙
表紙:PP加工+函入り
カバー:なし
状態
】A-/No 経年変化 5巻&13巻の函欠 一部の巻に経年劣化による背割れ
<古本の状態について>

こうした、いわゆる名作童話のセットというのは数え切れないほどありますが、このセットは、年月が経っても色褪せず、むしろ時を経て魅力を増してるように見えます。何がそう感じさせるのでしょうか。監修者の川端康成は巻末で「世界古今の大文学者が、子供のために書いた作品は・・・優れた文学の高い精神と深い味わいがこもっています。 このシリーズは・・そうした作品をよく集めて、これまでになかった企てです。」と述べています。挿絵を描いているのは、司修や鈴木義治、太田大八など、それぞれが独自の世界を確立した質の高い画家ばかりで、「大文学者」によるお話をさらに味わい深いものにしています。作家自身の生い立ちや、作品自体の説明、さらに原作の完訳も掲載されています。
個人的には、原作ストリンドベリ(本書の表示)による「海に落ちたピアノ」にまず魅了されました。絵を描いているのは鈴木義治。お話の一部を抜粋してご紹介します。

美しいある夕ぐれのこと。男の子と女の子が、
さん橋に、こしをおろしていました。
すると、海のそこから、音楽が聞こえました。
女の子が言いました。
「あ、だれかがピアノをひいているわ。」
「なあに、力がうたっているんだよ」
「いいえ、きっと人魚よ。」
「人魚なんかいないって、先生がおっしゃったよ。」
「先生は知らないんだわ」
ふたりは、ピアノに聞き入っていました。
そこへ、海水よくに来たばかりのふたりづれが来ました。
男の人は、つれの女の人の目に、
バラ色の夕やけと青い海がうつっているのを見ていました。
すると、ゆめの中で聞たよう音楽が、聞こえてきました。
ふたりは、それを自分たちの心の中でうたっている音楽だと思いました。

このセットには、今は失われつつあるもの(それはなかなか一言では言えないものなのですが)
が、ぎゅっと詰まっている気がします。

 

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