*たわごとコラム

世界は一冊の本

秋からパタパタと忙しく、あまり本を読んでいません。
電車で通勤、通学をしていた頃には、移動中が読書タイムになっていましたが
車を使うようになった今では、そうもいかなくなりました。
読みたい本が、未読のまま増えてゆくのは結構ストレス・・
しかも、一種の栄養失調のような症状が表われ始めます。

「読書休暇をとりたいな〜」といったら、
贅沢だといわれました。
そうでしょうか??(苦笑)

私は一冊の本をじっくりと味わうために、
丸一日時間が欲しいと思うことがよくあるのです。

「世界は一冊の本」 長田 弘

本を読もう。
もっと本を読もう。
もっともっと本を読もう。

書かれた文字だけがほんではない。
日の光り、星の瞬き、鳥の声、
川の音だって、本なのだ。

ブナの林の静けさも、
ハナミズキの白い花々も、
おおきな孤独なケヤキの木も、本だ。

本でないものはない。
世界というのは開かれた本で、
その本は見えない言葉で書かれている。

ウルムチ、メッシナ、トンブクトゥ、
地図のうえの一点でしかない
遥かな国々の遥かな街々も、本だ。

そこに住む人びとの本が、街だ。
自由な雑踏が、本だ。
夜の窓の明かりの一つ一つが、本だ。

シカゴの先物市場の数字も、本だ。
ネブド砂漠の砂あらしも、本だ。
マヤの雨の神の閉じた二つの眼も、本だ。

人生という本を、人は胸に抱いている。
一個の人間は一冊の本なのだ。
記憶をなくした老人の表情も、本だ。

草原、雲、そして風。
黙って死んでゆくガゼルもヌーも、本だ。
権威をもたない尊厳が、すべてだ。

200億光年のなかの小さな星。
どんなことでもない。生きるとは、
、 、、 、、、 、、、
考えることができるということだ。

本を読もう。
もっと本を読もう。
もっともっと本を読もう。

PADE TOP