*たわごとコラム

空気感やにおい、音・・を感じられる絵本

空気感やにおい、音・・を感じられる絵本が好きです。
そういう作品は、 言語やイラストのタッチに関わらず、
ほとんどが“お気に入り”になります。
先日ある方と、好きな絵本についての話をしていて再認識しました。

その時に名前が挙がったのが、
ユリー・シュルヴィッツの「よあけ」や
アイリーン・ハースの「カーリーおばさんのふしぎなにわ」(*絶版)
ピーター・スピアの「雨、あめ」など。

「よあけ」は、未明から日の出にかけての静寂さや朝のにおいを
「カーリーおばさんのふしぎなにわ」は立ちこめる草いきれを
「雨、あめ」は雨から受ける感覚の全てを

このような作品から五感に響いてくる感覚をよくよく味わってみると、
それらはみな、子どもの頃の遠い記憶の中から、
あるいは、いつかどこかで実際に経験した思い出の中から
呼び起こされているような気がします。

つまり、それらの感覚は既に私の中に存在していて、
絵本たちがその記憶を鮮やかに再生してくれているのではないかと思うのです。
だからでしょうか。頁をめくりながら、音やにおいをリアルに感じることが多いのです。

しばらくして、ふと考えてしまいました。
もしも自分の中に、そういう記憶や思い出・経験がまったく無かったとしたら、
絵本から感じられるものはもっと少なくなるのだろうか??

何かを連想したり、想像することは出来るかもしれないけれど、
リアルな感覚を味わうことはできないだろうな・・と、
それこそ“想像”してはみるのだけれど、
“無いもの”をイメージするのはとても難しく、思いは巡るばかり。

想像することそのものが、絵本の魅力の神髄ですが、
自分の中に色んなものがあればあるほど、
感動や、想像力そのものが豊かになるのは確かなように思えます。
これは絵本に限ったことではありませんよね。

そう思うと、あまり外で遊ばなくなったという最近の子どもたちが、
ちょっとだけ心配になります。
図鑑やテレビやパソコンで、どんなにリアルな画像を見ても、
結局それは無味無臭です。

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