*たわごとコラム

好みのタイプ

店主Cの好みのタイプを一言でいうと“使い古したモップ”です。

店主Cは今年で15歳なりますが、
歳をとって好みが渋くなった・・・というわけではありません。
昔からずーっとそうなのです。
普段、興味のない相手には全く無反応な店主Cも、
“使い古したモップ”のようなヨレヨレ犬を見ると、
しっぽを振って近付いていきます。

以前住んでいた家の近くにも、そんな犬がおりました。
毛足の長い白の雑種で、庭で飼われている、いわゆる番犬。
結構な老犬で、シャンプーなんかしたことないさ〜
という感じでしたが、 店主Cはたいそう、その犬がお気に入りでした。
名前を知らなかったので、私たちは勝手に“長老”と名付けていましたが、
いつの間にかあだ名は“チョロ”に変わり、
その家の前を通る度に 「チョロ!チョロ!」と声をかけていました。
けれども、チョロはわざと明後日の方向を見つめていて、
いつも冷たい素振り。
(というか、耳が遠かったのかも・・・)
渋くて、クールで、身なりをあまり気にしないタイプ、
それが店主Cの好みです。

こちらに引越してきて、またもやそんな犬に出会ってしまいました。
その犬は、散歩コースを5メートルほど外れた
お宅の庭先につながれています。
とにかくよく吠える犬で、 近所の人もあまり近付かないのですが、
どういうわけか店主Cとはラブラブ。
今では、店主C自ら散歩コースをそれて、
わざわざ会いに行くようになりました。


一応、店主Cのボーイフレンドですし、“使い古したモップ”タイプ、
と紹介するのもなんなので、最近は“チューバッカ”タイプ
ということにしています。
ちなみに名前はシロちゃん、店主Cを連れている私には全く吠えません。

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愛を語り合う2匹。
奥に映っているのは、シロちゃんの母。
店主Cと同い年くらいかも・・・愛って、複雑。

母と息子の鎖は、いつもぐるぐるに絡んでしまっていますが、
夕方に飼い主のおばあちゃんが、毎日時間をかけて
それをほどいてあげるのが日課になっています。
生きるって・・・複雑。

アンネの日記

「アンネの日記」は、小学生の頃の教科書に載っていたような記憶があります。

— 第二次世界大戦中、ナチスドイツのユダヤ人迫害を逃れるため、アムステルダムで2年あまりもの間、家族と共に潜伏生活を余儀なくされた少女。
常に連行の恐怖と隣り合わせだった屋根裏部屋での暮しの中でも、決して未来への希望を失わなわず、深い洞察力で時代を見つめ、思いの全てを日記に記した。–

言うまでもなく、アンネ・フランクは
実在の人物。
日記に綴られていることは、1940年代に実際に起きたことです。

小学生だった私は、学校で教わった「アンネの日記」を、
真摯な気持ちで受け止めていました・・・が
戦後生まれの私にとってみれば、やはりそれは“想像の域”。
現実に起きたことなのだと頭では理解していても、実感は伴っていなかったと思います。

その後、私は20代の頃に、アムステルダムにあるアンネ・フランクの家を訪れました。
一家が2年間身を隠していた建物は、アンネ・フランク財団によって保存され、
一般公開されているのです。

屋根裏部屋へと続く隠し廊下、それを塞ぐ大きな書棚。
小さくて、
簡素なキッチン。

アンネが空を仰いだであろう小窓・・・・

教科書に文字でつづられていたものが、実物としてそこにありました。

私にとって特に印象的だったのは、アンネの部屋の壁に無造作に貼られていた、
一枚のモノクロ写真です。
それは、女優のブロマイドのような美しい女性のピンナップだったのですが、
唇のところが、口紅を塗るように赤いペンでなぞられていたのです。

それがアンネによるものかどうかは、定かではありません。
けれどもこの時、
当時15才だった少女の思いが、はっきりとした現実味を伴って
突然“今ここ”に甦ってきたような感覚を覚えました。

日記につづられていることよりももっと現実的な、
日々の呼吸にも近いような心の動きに、思いがけずにふれてしまったような、
そんな感覚・・

その時から、私にとってアンネ・フランクは、
単なる教科書の登場人物ではなくなりました。

彼女は、少女らしく思い、悩み、憧れ、恋をし、夢を持ち、
“15年間確かに生きて”
ナチスの強制収容所でその生涯を終えたのです。

これこそまさに“紫”

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茄子・・・ ?
紫芋・・・ ?

いえいえ・・・これは“アケビ”です。

そんなに珍しいものではないけれど
こんなにきれいな紫色のものは初めて見たので、
思わずパチリ。

これこそまさに“紫”

しかけ絵本の世界展

現在、兵庫県神戸市にある有馬玩具博物館で「しかけ絵本の世界展」が開催されています。プレシャスブックスもお世話になっている、展示品のコレクション・オーナー様からご案内をいただきました。有馬玩具博物館の4階フロアーに、古くは“しかけ絵本の父”と呼ばれるロタール・メッゲンドルファーのものから、新しくはロバート・サブダのものまで約180種類・200冊の「しかけ絵本」が展示されているそうです。また、実際に手にとって遊ぶことができるコーナーも設けられているとのこと。11月の休日には、ワークショップも開かれるそうですので、お近くの方は是非、足を運んでみてください。

詳細は有馬玩具博物館のホームページで
http://www.arima-toys.jp/

<しかけ絵本の世界展>
場   所 : 有馬玩具博物館
        兵庫県神戸市有馬町797
        TEL:078-903-6971
期   間 : 10月18日(水)〜12月11日(月)
開 館 時 間 : 午前9時30分〜午後6時
休   館 : 毎月第一・第二火曜日
(11月14日の火曜日は開館)

11月の毎日曜日(5日・12日・19日・26日)と23日の祝日には、1階のアトリエにおいて、<しかけ絵本>の仕組みを実際に体験できるワーク・ショップが開催されます。

有馬玩具博物館の展示テーマ
6階 -「ドイツの伝統的な木のおもちゃ」
5階 -「現代的な自然素材のおもちゃ」
4階 -「動く仕組みの分かる現代的なからくり」
3階 -「ブリキのおもちゃと鉄道模型」

*有馬玩具博物館様をリンクのページにお迎えしました。

10-18

仲秋の名月 – その3

青い月、赤い月
眩しいほどに輝く月
今にも空に溶けてしまいそうな、薄ら氷のような月 ・・・

これまでにも様々な“思い出に残る月”がありました。

それでも、今年の仲秋の名月が、特に印象深く感じられたは、
水際で月の出の瞬間を見たからだと思います。

なににもまして、水面に映る月光が、息を飲むほどに神秘的だったのです。

月の光は、さざ波に揺れる光の道になり、
静かに私の足元へと伸びてきました。
それはまるで、月と自分が光の道で繋がっているような、
不思議な感覚でした。

当たり前のことですが、水面に映る光の道は、
常に見ている者の方へと伸びてきます。
水辺にいても、間に堤防や道路があったら、気付かないかもしれません。
文字通り、水際に立たなければ光は届かないのですから・・・

あの日は、月が空高く昇るまで浜にいました。
月の色も、空の色も刻々と変わってゆき、
帰る頃には、月明かりで風景が青白く光って、
何もかもがくっきりと影を落としていました。

仲秋の名月は、やはり特別な月。
これまで、この日にお月見をしなかったことが悔やまれます。

月にまつわる伝説や行事は、
古人のこんな体験から生まれたのかもしれませんね。
いつもは、空の彼方に、遠く月を望んでいるだけのかぐや姫も、
“特別な月”の日だったら、光の道を通り、
水の上を歩いてでも故郷に帰ることができただろうと思えるのです。

仲秋の名月 – その2

仲秋の名月とは、旧暦で8月15日の月。新暦でいうと今年は10月6日です。
正確にいうと、私が偶然月の出を見た土曜日は 仲秋の名月の翌日でした。

が、10月6日当日は、台風崩れの低気圧が
日本列島に接近して大荒れの天気で、
とてもお月見ができるような状況ではありませんでしたね。

しかも、10月6日の月は満月ではありませんでした。
仲秋の名月は、満月とは限らないんですね。
新月が満月になるまでにかかる日にちは約14.76日なので、
暦より実際の満月の方が遅れることが多いのだそうです。

今年も、実際に満月になったのは翌日の土曜日でした。
ですから、やはり土曜日の月が最も大きかったということになります。

ところで、同じ満月でも、時期によって見える大きさが違うということを、
私はあまり意識していませんでした。
遠い遠い昔に、学校で習ったような記憶があるのですが、
そんなことはもうすっかり忘れかけていました。
月の軌道は楕円なのですから、考えてみれば当たり前のことですね。

夜空を見上げれば、そこにあることが
当たり前のようになってしまっていた月。
写真集や、月に関する本を読んで、知っているつもりになっていた月。

あの夜、神秘的ともいえる月の力を、知識としてではなく、
実際の感覚として体感することができたのでした。

仲秋の名月

この連休は仕事の締め切りが重なって、ほとんどの時間をPCの前で過ごしましたが
土曜の日暮れ時に出た散歩の途中で、とても幸運な出来事があり
それだけですっかり充実した気分になっています。

その日は、いつもより少しだけ散歩に出る時間が遅くなり、
店主Cにあやまりながら家を出ました。
5時ちょっと過ぎ・・日が暮れて暗くなり始める時間です。

金木犀の残り香を感じながら坂道を下り、海辺に辿り着いた時のこと、
水平線の辺りが、なにやらゆらゆらと光っていることに気がつきました。

・・・・それは、思いがけず遭遇した月の出の瞬間でした。

息を飲んで見つめている間に、光がどんどんと大きくなっていきます。

刻々と昇ってゆく月、デリケートに変化する空の色
星の瞬き、水面に映る月光・・・

求めて旅しても、なかなか出会えないだろうと思えるような
気が遠くなるほどに美しいひと時でした。

前日の暴風雨で空気がキレイに洗われていて、
水平線付近には、雲や人工の光など、妨げになるものは何もありませんでした。
この日はちょうど満月で、しかも2006年で一番月が大きく見える日でした。
(それも、帰宅してから分かったことです。あまりにも美しい月だったので
 月齢を調べてみたのです。)

何もかもが偶然でしたが、そう思うと、
この出来事がとても奇跡的なことに思えてきます。

月なんて、晴れた日の夜に空を見上げれば、
いつだってそこにあるものという印象がありますが
私はこの日、“特別な月”があることを知ったのです。

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今年最大の満月

今夜は、今年一番満月が大きく見える日だそうです。
朝3時5分から4時38分にかけては、部分月食も見られるとか。

先程見た月の出は、 気が遠くなる程の美しさでした。

目をそらそうとするよりも

広島ドックパークの倒産によって、多くの犬たちが悲惨な状況下にあるという
事実がニュースになっています。

熟慮して・・・一助になる可能性を感じ、
ここにリンクすることにします。

ここだけが地獄ではありませんが
ここ“も”地獄です。

少しでもできることを考えること・・・
自分の非力さを嘆くこと・・・

ただそれだけでも、意味のあることだと信じます。

少なくとも、悲しむのが嫌で、目をそらそうとするよりも。

http://ark-angels.com/rescue.html

プレシャスブックスのリンク集でもご紹介しているサイト 「日々のしおり」のオーナーさんは「JAVA 動物実験の廃止を求める会」のアクションメンバーとして活動しておられます。また、あらゆる動物たちの救済活動に、積極的に携わっていらっしゃいます。いつもいつも、彼女に学ぶことは非常に多いと感じています。
「日々のしおり」 http://frea-far.com/blog/



今日は朝から台風が来たのかと思うような暴風雨でした。
金木犀もだいぶ散ってしまったようです。
いよいよ肌寒い季節がやってきますね。

しあわせな季節

私は今、しあわせです
どうしてかというと、金木犀が咲き始めたからです

・・・ただそれだけの理由です
相変わらず「100%健康です!」ともいえないし、
毎日いろいろなことに右往左往していますが・・

それなのに、金木犀が咲き始めると
風に乗ってやってくるその香りが、
私の脳内の幸せ中枢に直接届くのか、
さらさらと、しあわせな気持ちになるのです
右往左往の種が、消えてしまうわけでもないのに

金木犀の花期は7日から10日、一年に一度、秋風を感じ始めるこの時期だけ・・
強い雨が降れば、小さな花はあっという間に散ってしまいます
そう思うと、花期の短さが惜しまれて仕方ありません。

なんとか香りを残せないものかと
その昔、落ちた花を小さなビンに入れて集めてみたり
押し花にしてみたり
はたまた、金木犀の花をぶどう酒に付け込んだ桂花陳酒 というお酒を飲んでみたり
フレグランスを買って試してみたりもしましたが
生きた花の香りには、遠く及ばないものでした。

ですから今では、毎年あっという間に終わってしまうこの季節を
存分に味わいと思うようになりました
さりとて、どうすればそうできるのかも分からなのですが
いつもより少しだけ散歩の時間を増やして、
犬のように鼻を高くし、風のにおいをかいで歩くのです。

犬といえば・・・本当にパブロフの犬のようだと思います
これも“無条件反射”というものでしょうか?

同様につらい思いを呼び覚ますものも、たくさんあることを思えば
無条件にしあわせになれるものには、なるべく敏感でありたいものですね。

そう、風のにおいをかぐ犬のように(笑)

天気予報によれば、明日のこの辺りの天気は曇り
陽光や雨が、花の命をせきたてることもなく
ゆったりと香りが漂う一日になりそうです。

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