*たわごとコラム
バレンタインデーの出来事
店主B「今日も暑いですね~ 」
宅配のTさん「昨日よりは涼しいけどね」
この辺りの気温は25度を超えて夏日となりました。
2月に交わす会話じゃありませんね~。
つい最近隣町に引っ越してしまった小学生ゆうじが
夕方訪ねてきてくれました。
「ゆうじ、チョコレートもらった?」
「うん!もらったよ!
おばちゃんでしょう~、お姉ちゃんでしょう~、学校の友だち!」
全部義理チョコかぁ~、どんまい!どんまい!また来年があるさぁ~
だけど今日も元気いっぱいの小学生ゆうじ。
そんなゆうじのお姉ちゃんと妹から、手作りのチョコクッキーをもらった店主Bゆうじ。
思いっきりほっぺたがゆるんでいます。
カードにはこんなメッセージ・・・
クロッキーとはなれちゃってさみしいけど、また海などで会いたいです。みお
引っ越して以来会ってないけど元気ですか。
またクロッキーと会いたいです。りさ
またクロッキーにあいたいです。
こっちにもきてください。 ゆうじ(何故かゆうじのメッセージ)
「なんだよ、結局クロッキーかよ」
どんまい!どんまい!(苦笑)
鰹節
昨年から我が家では、鰹節削り器で削り節を作るようになりました。
子どもの頃は、そんなことは当たり前だったのですが、
いつの頃からパック入りのものを使うようになって、
以降、鰹節削り器はお蔵入りになってしまいました。
昨年、店主Bが突然「昔のように鰹節を自分で削ろう」といい出し、
実家の義母に頼んで、しまい込んでいた鰹節削り器を譲ってもらったのです。
もうだいぶ長い間使っていなかったので、
歯を研いだり、金槌で歯の出方を調節したりしてメンテナンスをし、
「さて、あとは鰹節・・」と、いつものスーパーに買いに行きました。
ところが、棚に並んでいたのは端から端までパック入り!
小袋入り、大袋入りと、いろいろ種類はあったのですが、
結局、固まりのままの鰹節は売ってませんでした。
まさか鰹節が入手困難とは・・(苦笑)
現代では、鰹節といえばやっぱりパック入りなんですね。
かといって、近くに乾物屋さんもないし、
デパートもないし・・・(デパートにならあるかもと思ってしまうところが、また悲しい)
手に入れるまでに少し時間がかかってしまいました。
ようやく準備が整って、「どっちが前だっけ?」なんていいながら、
ちょっと儀式みたいな感じで削り始めました。
シュコ、シュコ・・・という懐かしい響き。
時々、小さな引き出しを開けて中を確認します。
その度に、何ともいえない新鮮な香り・・・
少しずつ昔の記憶が蘇ってきました。
削った面がツルツルと光って、きれいだな~と思いながら触ってみたこと。
魚がどうしてこんなに固くなるのだろうと不思議に思ったこと。
まるで木の削りかすみたいだと思ったこと。
時々引き出しを開けて、つまみ食いをしたこと。
そんな思い出も、隠し味になっているのでしょう。
その日から、お味噌汁もおひたしも、それまで以上のご馳走になりました。
「美味しい」って 、その時の味覚だけで感じるものではないんですね。
パンチのおじいさん
いつも行くお魚屋さんの近くに、
クロッキーのことをパンチと呼ぶおじいさんが住んでいます。
以前飼っていた犬が、クロッキーとそっくりなのだと
写真を見せてくれたこともありました。
黒くて麻呂眉毛にソックスをはいているところは確かに似ているのですが、
私の印象では、“似ている度”30%。(苦笑)
けれどもおじいさんにとっては、パンチを思い出すのに充分な特徴なのでしょう。
時々、畑仕事用の軽自動車に乗ったおじいさんと行き会うこともあるのですが、
その度にわざわざ車を止め、ウィンドウを開けて声をかけてくれます。
クロッキーを抱き上げて窓に近づけると、
まるで孫を見るような優しい目で「よしよし」と言いながらなでてくれるのです。
昨年暮れのよく晴れた日のこと、二人と一匹で山沿いの道を散歩してしていた時に、
たまたま畑仕事をしに来ていたおじいさんから声をかけられました。
それまで知らなかったのですが、その山の斜面におじいさんのみかん畑があったのです。
「ちょっと寄ってかんか?」
おじいさんの後について細い坂道を登ってゆくと、急に視界が開けて
小さな町並の向こうに海が広がっていました。
その日は本当にいいお天気だったので、半島や島もはっきり見えて
息を飲むような絶景でした。
「わ~~~~~~~~~」 思わず溜息・・・
「ここにパンチが眠っているんだよ」とおじいさんがポツンと言いました。
ふと見ると、足元に小さな墓石が。
「ああ、それはな、先代が飼っていたシロという犬で、ワシのおやじがつくったのさ」
パンチのお墓は、さらに坂を登ったところの、大きなみかんの木の下にありました。
「息子が、ここがいいといったのさ。ここからだと、家がよく見えるから」
確かにその場所からは、 おじいさんの家がよく見えました。
「パンチは、よくここに一緒に来て、
気がつくと一人でトコトコ坂を降りて、勝手に家に帰っていたんだよ」
パンチもシロも、なんて幸せなのでしょう。
昔、犬を飼うと言えば、ほとんどが番犬・・・
現代のように家族として扱われる犬は少なかったと思います。
きっと先代さんもおじいさんと同じように無類の犬好きだったのでしょう。
お日様の光が降りそそぐ天国のようなみかん畑で、
懐かしい家を眺めながら、パンチが元気に走り回っている姿が見えるようでした。
昔も、今も、同じように・・・・
そんなおじいさんに縁ができて、クロッキーも幸せのお裾分けをもらっています。