*たわごとコラム
本国で探しても・・・
日本でとても人気のある諸外国の作家さんの母国を訪れ、
ご当地の本屋さんで、その作品を探してみたものの
ついに 見つけることが出来なかった、あるいは数が少なくて驚いた・・・
ということを、私は何度か経験しています。
以前、旅のコラムでもご報告したことがありますが、
チェコやスロヴァキア、リトアニアやポーランドなどがそうでした。
国によって出版事情は異なりますし、
一概にその理由を述べることは出来ませんが、
これらの国々の、国際的に実力を認められている作家さんの作品は、
本国よりも他国で出版されるケースが多くなっているようです。
例えば、パレチェクさんの作品が現在一番多く出版されている国は、ここ日本です。
ファンには嬉しいことですが、ちょっと複雑ですよね。
チェコという国の、歴史的背景や経済状況を考えれば
出版事情が未だ激動の中にあるであろうことが推測できます。
EU加盟によって、今後どのように変化していくのかも気にかかるところです。
いつの時代でもどこの国でも、出版事情というのはその国の情勢に密接に関わっています。
もちろん、児童書とて例外ではありません。
児童書の出版が、国の情勢に翻弄されるというのはとても悲しい現実ですが、
でもだからこそ、優れた作品に、国境を超えて出版の機会が与えられることは、
とても有意義なことなんですよね。
そう考えると、日本はとても恵まれています。
自国作品の出版も多い上に世界中の本が翻訳出版され、発刊数も膨大です。
少子化や出版不況など、不安要素もたくさんありますが
児童書の部数だけ見ても、こんなに豊かな国はそれほど多くありません。
今日は右?左?
テレビをつければライブドアの話題一色。
少し前まで大騒ぎしていた耐震偽装事件は?
あの事件もこの事件も、あっという間に報道時間が減ってしまいました。
昨日まで「右だ右だ」といわれていたものが、
朝起きてみると突然「左だ左だ」と言われている・・・
なんだか虚しさで胸がいっぱいになってしまいます。
こんな時は油断すると、わけの分からない不安感に飲み込まれてしまうので
できるだけ“実”の中に身を起きたくなるのです。
実・・・というのは、虚の反対。
虚の反対、って何だろう?
そんなことを考えるだけでも、ちょっとだけ 虚しさが和らぎます。
虚しさを感じない、なにか具体的なものをイメージしようとしたら、
いろんな人の笑顔とか、ご近所さんたちの普通だけど誠実な暮しとか
クロッキーの寝顔とか、ちゃんと作ったごはんとか、軒先きの手入れされた植木鉢とか・・・
なんだかそんな、普通なものばかりが頭に浮かんでくる・・・
明日はニュースを見ずに、もうちょっと考えてみよう。
虚しさを感じない、なにか具体的なもの・・・
思いがけないお誘い・・・
昨年出会った、裏山の陶芸工房のオーナーさんが
“寄席”の案内状を送ってきてくださいました。
思いがけない人から、思いがけないお誘い・・・
会場は熱海の芸妓見番、真打は柳家権太楼・・・
こんなご縁でもいただかない限り、
多分自分から足を向けることはないと思い、
ものは試しに行ってみることにしました。
芸妓見番も初めてなら、本格的に落語を聞くのも初めて。
経験したことがないので、好きも嫌いも分からず好奇心だけで
見に行きましたが、これが大正解でした。
ますは芸妓見番の建物自体が、見ごたえたっぷり。
一歩中に入れば、表とはまったく違う時代の空気が流れている感じです。
靴を脱いで入場すると、客席は畳敷きに座ぶとん、
芸妓さんの名前が入ったちょうちんが天井際にずらりと並んで
場内の雰囲気を盛り上げています。
出囃子ともにまずは前座が登場、真打まで間に二人、
会場は徐々に盛り上がり、
素人の私にも、実力の差がはっきりと分かります。
とにかく、名人の話芸には感心することしきり。
お腹の底から笑い転げて、浮き世の憂さも吹き飛びました。
私の場合、若かりし頃はどちらかというと国外の文化に興味を持っていて、
外を見てからようやく自国の文化の真の素晴らしさに気付くという不甲斐無さ・・・
まさに灯台下暗しですが、
ようやく、足元にお宝がたくさん眠っていることに気付いたという感じです。
今回、“思いがけない”ものに触れて、
ちょっとだけ視野が広がった感じ。
帰り際、陶芸工房のオーナーさんと、今度は花見酒でも致しましょうと
春の約束をしてきました。
もともと、「裏山で開催している陶芸展を見に行ってみよう!」という
店主Bの思い付きから始まったご縁・・・
思いがけないことが、思いがけない方へと続いていきます。
“お休み”らしい、お休み
今日は、“お休み”だ!と決心して
“お休み”らしい、お休みにしようといろいろ画策してみたのですが
画策している内に日が暮れました。(苦笑)
そもそも、うちの場合は自分で“お休み”を作らなければ平日も休日もありません。
もう20年近くもこんな生活を続けていますから慣れてしまってはいるのですが、
いつもどこかに“やらなければならないこと”が引っ掛かっている感じで
空っぽの日を作ることがとても難しく感じるようになってしまいました。
画策しないと“お休み”が作れないというのは、ある種の病気ですね〜。
なんだか情けない気持ちになって、
とりあえず、好きな音楽を流してみました。
何かをやりながらではなく、ただその音楽を聞くためだけに
プレイヤーのボタンを押す・・・
たったそれだけのことを、もう随分やっていなかったような気がします。
目を閉じて聞いていたら、聞き慣れた曲なのにまったく新しい音が聞こえてきて、
なんだか涙が出そうになりました。
ずっと昔に出会って、何度も聞いた曲。
あの頃も、こんな音が聞こえていたのだろうか?
聞こえていたのに忘れてしまっていたのだろうか?
考えてみれば、目を閉じていたのはものの数分です。
私は毎日何をやっているんだろう、とちょっとだけ反省しました。
これから、古いレコードなどを引っ張り出して、
久しぶりに緊張しながら針を落としてみようと思います。
今日なら、CDでは聞けない音が、聞き取れるかも知れません。
パンチ似のクロッキー
散歩コースにある魚屋さん付近では、時々店主Cは「パンチ」と呼ばれます。
最初は「え?」と思いましたが
今では、そう呼ばれることが自然になってしまいました。
なんでも、魚屋さんのお向かいのお家で以前飼われていた犬が「パンチ」という名前で
外見がクロッキーそっくりだったんだそうです。
散歩の途中でそのお家のご家族に行き会うと
「パンチ! いい子だね〜」と、目を細めてクロッキーの頭を撫でてくれます。
ご近所の方も「パンチ!パンチそっくりだね〜。長生きするんだよ」
と声をかけてくれます。
パンチは、皆に愛されていたんだな〜。
パンチ似のクロッキーは、役得だね。
昨日はパンチのお父さんから、お庭の万両を分けていただきました。
今、玄関に飾ってあります。
タイの野良犬
戌年にかこつけて、この際“犬週間”にしてしまおうと思います。
年末にタイの野良犬についてレポートした番組を放送していましたが、 ご覧になりましたか? タイ国王が「野良犬を一匹たりとも殺してはならない」というおふれを出し、税金で野良犬を保護するシステムを作ったというお話でした。野良犬を捕獲し、避妊手術を施し、地元住民を説得して元の場所に戻すのだそうです。噛みぐせのある犬や、住民に拒否された犬は施設で放し飼いにされるのですが、それでも処分されることはありません。時々その中から軍用犬候補が生まれ、大津波の際に人命救助で大活躍して勲章を貰った犬もいるという内容でした。なんと国王ご自身も、保護された犬を飼っていらっしゃるそうです。
タイでは人々の暮らしに野良犬が自然に溶け込んでいます。私の知っているところでは、バリ島や地中海の島々でもそうなのですが、人も犬もお互いの存在を認め合って自由に生きているのです。首輪を付けていない犬が町中を歩いていようものなら、すぐに不安になってしまう我が国とはかなり様子が違います。私も旅先で、そんな犬たちと共に何日か過ごしたことがあります。彼等は滞在初日に新参者の私の安全性を確かめに来て、大丈夫そうだなと分かるとそのあとはずっと実にフレンドリーに接してくれました。なんだかとても心豊かになれる日々でしたよ。
ちなみに、日本で殺処分にされる犬は、年間30万匹以上にもなるそうです。
ちっぽけに、ゆっくりと
はやくも10日、今日から更新再開です。
2006年戌年にちなんで、まずは「犬の絵本」から・・
今年もまたプレシャスブックスはこれまで同様
“ちっぽけに、ゆっくりと”歩んでいこうと思います。
本年もどうぞよろしくお願い致します。
今年もよろしくね
朝起きてみると、窓の外は真っ白。しんしんと雪が降っていました。
温暖なこの地域にも、めずらしく雪が積もっています。
北の方では大寒波が押し寄せて、深刻な大雪になっているとのこと。
今年もスタートから、いろいろなことが起きますね。。。
さて、 今年は戌年。ここぞとばかりに年賀状に店主Cを登場させました。
こんな格好をして寝ることは滅多にないので、そーっと近寄っていって撮った写真です。
“犬ばか”って言われそうだけど・・・いいや、本当にそうだから。(笑)
クロッキーが健やかに、すやすや眠っている姿を見ていると、
ただそれだけで心穏やかになります。
自分以外の存在が幸せそうにしているのを見るだけで、
あたたかな気持ちになれるというのは、なんと幸せなことでしょう。
時折、
『もしもすべてが、そういう気持ちでつながり合えたら、
世界はもっと平和になるのに・・』
などと思いながら、いつまでも飽きもせずにその寝顔を眺めています。
誰かが、家族や友だちや、一緒に暮らしている動物の写真を、目を細めて見せてくれると、
「大切なものを大切に思う気持ち」という、とてもシンプルな接点で
あっという間に心の距離が縮まります。
一度も会ったことがないその人の“大切なもの”が、幸せであるようにと
祈らずにはいられません。
また私は、誰かが “大切なもの”を見つめている時の表情がとても好きです。
なんとも優しく、微笑ましいその笑顔を見ていると、それだけで
幸せな気持ちになります。
“大切なもの”は 人それぞれですが、“大切に思う気持ち”はみんな同じ。
旅先でもネット上でも、いつでも、どこでも、誰とでも、
そんなふうにつながる縁は、宝物です。
2006年・・・
世界中の“大切なもの”が健やかに、幸せでありますように。
いつも クロッキーをあたたかな目で見守ってくださって、ありがとうございます。
最近、白髪が増えて、足腰も少し弱くなりましたが、とても元気です。
今年も時々コラムに登場すると思いますが、
“犬ばか”ゆえの愚行をどうか大目に見てやってください。