*たわごとコラム
水とぶどう酒-----その1
自分という存在の小ささや非力さを嘆きたくなる時、
いつもの脳裏に浮かぶ おとぎ話があります。
子どもの頃に出会ったお話で、詳しいことは忘れてしまったのですが、
大筋だけはずーっと覚えていました。
後で調べて分かったのことなのですが、
それは『ぶどう酒が水になった話』というフランスの民話です。
『ぶどう酒が水になった話』
フランスのある村に、100歳を迎えたおじいさんがいました。
村人たちはみんなで相談して、長寿のお祝いに
おじいさんの大好きなぶどう酒を一樽贈ろうということになりました。
どこの家も貧しかったので、
みんなで少しずつぶどう酒を持ち寄ることにしました。
村の広場に大きな樽を置き、
村人たちは順番に持ち寄ったぶどう酒を注ぎ入れました。
一杯になった樽を、みんなで担いでおじいさんの家に持っていきました。
その樽を見て、おじいさんは涙を流して喜びました。
貧しい村人たちの気持ちに感謝で一杯でした。
おじいさんその晩、樽を開けてぶどう酒を飲んでみると・・・・
なんとぶどう酒は、すっかり水に変わってしまっていました。
何故ぶどう酒が水になってしまったのでしょう?
『自分ひとりだけなら、ぶどう酒のかわりに水を入れてもわからないだろう…』
と、すべての村人が考えた結果、
樽はぶどう酒ではなく、水で満たされたのです。
なんて恐いお話でしょう。
このお話のキーワードは『自分ひとりだけなら』です。
全ての人が 『自分ひとりだけなら』と思うと、ぶどう酒も水に化けてしまうのです。
・・・・つづく