*たわごとコラム

作業着を着たジーザス

さっき、なにげなくニュース番組にチャンネルを合わせたら、
昔住んでいた街でよく利用していた、自然食品店の店主・Yさんが映っていました。

今ではどうなっているのか分かりませんが、
当時その店は、まるで宮沢賢治の童話にでも出てきそうな趣で、
そこだけ他とは違う時間が流れているかのようでした。

店主のイメージを一言でいうと、作業着を着たジーザス。
インドの修行僧にも見えるし、ラテン・ミュージシャンにも見える・・・
テレビで見る限り、その雰囲気は昔とちっとも変わっていませんでした。

番組によると、Yさんは数年前に本格的な有機農業を始め、今では農業学校を開いて、
たくさんの人に自ら試行錯誤で構築した農法を伝授している様子。
農業に関わる活動だけが取材されてましたが、
Yさんは昔からいつも何かをしている“活動家”で、
奥さんが“あの人は動いてないと死んじゃう”なんていってたこともありました。

買い物に行くと、Yさんはゴツゴツした手で野菜を新聞紙にくるみながら
いつもちょっとだけ、さらりと、
どうしたら変えるべきものが変えられるのかを語ってくれました。
何も喋らなくても、Yさんの生きざま自体が一つの道しるべでした。

問題点を指摘することは誰にでもできますが、実際に行動し、
それを持続できる人は多くありません。
今もなお活動家であるYさんに、私は心底感動してしまいました。

店主Bは、番組を見ながら「カッコイ〜〜〜」を連発。(笑)
さらに「子供だった頃は、こういうかっこよさは分からなかっただろうな〜」とぽつり。

当時Yさんの店に行く時は必ず、買い物袋と
何度も使ってボロボロになった紙製の卵パックを持参しました。
そうしろと言われたわけではありませんでしたが、そうすることが自然でした。

今でも買い物袋は持参しているけれど、卵のパックは持っていきません。
この辺りでは、卵をバラで売っている店はないんです。
でもそれ以前に、最近ちょっと妥協があったかもしれません。

たまたま見たニュース番組でしたが、作業着を着たジーザスは
「それは“たまたま”なんかじゃないんだよ」と言うだろうな〜。

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