*たわごとコラム

捨てられないハギレ

先日ブラウスを自作した時に出たハギレ。
こんなに小さいと小物作りに流用するのも難しそうですが・・・捨てられません。
ビンボーショウ?

よくよく見ると、綺麗なんですよね〜。

C1608-01a

この布地は、なんと25年以上も前に入手してそのまま保管してあったもの。
基本的にものを作ることが好きなのですが、
当時は時間的に余裕がなくて、好みの材料を見つけて購入しても、
なかなか形にすることができませんでした。
それを今頃になって引っ張り出してきて再利用?しているのです。

これはインドのマドラス(今はチェンマイ)で生産されているマドラスチェックと呼ばれる綿生地で、
縦糸と横糸がまさに色々、それらが交わってさらに違う色を織りなしています。
ところどころに織りムラやネップがあり、洗うと豪快に色落ちしてしまうのですが、
肌触りが良くて、涼しくて、この生地で服を作るととにかく着心地が良いのです。
25年前は布地屋に行くと必ず定番のように何種類かは置いてありましたが、最近はそれほど見かけなくなりました。

何年かぶりに保管してあった生地を広げてみたら、インドのお香?のような匂いがしました。

この香りはどこでついたのかしら?
昔のインド綿は天然染料で染められたものも多かったのですが、まさかそこまでのものではなさそうだし・・・
現地の工場でお香が焚かれていたとか?
他のインド製品と一緒に輸送されたとか?

かつてインドに行った時に垣間見た、かの国の人たちの働く姿がが脳裏に浮かびます。
ハギレを眺めながら、南インドを一巡り。

その後たまたま宮脇綾子さんの作品集を開いて思いました。
宮脇さんだったら、もちろんこのハギレを大切にとっておくことでしょう。
そしてきっと、何かの作品に使ったはずです。

そんな気持ちでもう一度このハギレを眺めたら、まぶたの裏に一瞬、夕暮れ時の水平線が浮かびました。

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